- 「生きた美少女の入った箱」という際どいネタ!
- シリーズ最高傑作の呼び声も高い
- 京極夏彦の作風が嫌いでなければ必読の一冊
- おススメ度:★★★★★
一連の京極堂シリーズでは最も人気が高い(と思われる)本作。「箱に入れられた生きた美少女」という際どいネタをメインに、箱をあがめる霊能者や窓のない謎の四角い箱の建物など、面白い要素が満載。シリーズ2作目ということでキャラクターの描写もこなれてきて、キャラ同士のやり取りもより楽しめるようになっている。
このシリーズの長所は、到底現実にはあり得ないと思われる謎を、幽霊や超常現象を極力排して合理的に説明してくれることだ。実際に実現できるかどうかはともかく「できるかも知れない」というリアリティを感じる。凡百の小説なら、先祖の祟りが云々といった部分がきっちり説明されているのが素晴らしい(作中の榎木津を除けば)。
伏線の張り方も見事だし、新しく出てくるキャラクターも魅力的。美少女要素もあり、娯楽作品として非常に楽しめる構成になっている。初版がノベルス版だったこともあり、通称「レンガ本」と呼ばれるほど厚い本なので、気軽に読書を楽しむには向かないと思うが「姑獲鳥の夏」を読んだのであれば、そしてちょっとでも面白いと思えたのならば、本作を読まないのは大変損だと思う。
これは蛇足だが、映画版はいけなかった。個人的に京極夏彦の原作で映画が良かったものは未だにない。嗤う伊右衛門も小雪ばかりが印象に残って、うーむ。
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