★★★★★

魍魎の匣(京極夏彦/講談社)

投稿日:2017年1月3日 更新日:

  • 「生きた美少女の入った箱」という際どいネタ!
  • シリーズ最高傑作の呼び声も高い
  • 京極夏彦の作風が嫌いでなければ必読の一冊
  • おススメ度:★★★★★

一連の京極堂シリーズでは最も人気が高い(と思われる)本作。「箱に入れられた生きた美少女」という際どいネタをメインに、箱をあがめる霊能者や窓のない謎の四角い箱の建物など、面白い要素が満載。シリーズ2作目ということでキャラクターの描写もこなれてきて、キャラ同士のやり取りもより楽しめるようになっている。

このシリーズの長所は、到底現実にはあり得ないと思われる謎を、幽霊や超常現象を極力排して合理的に説明してくれることだ。実際に実現できるかどうかはともかく「できるかも知れない」というリアリティを感じる。凡百の小説なら、先祖の祟りが云々といった部分がきっちり説明されているのが素晴らしい(作中の榎木津を除けば)。

伏線の張り方も見事だし、新しく出てくるキャラクターも魅力的。美少女要素もあり、娯楽作品として非常に楽しめる構成になっている。初版がノベルス版だったこともあり、通称「レンガ本」と呼ばれるほど厚い本なので、気軽に読書を楽しむには向かないと思うが「姑獲鳥の夏」を読んだのであれば、そしてちょっとでも面白いと思えたのならば、本作を読まないのは大変損だと思う。

これは蛇足だが、映画版はいけなかった。個人的に京極夏彦の原作で映画が良かったものは未だにない。嗤う伊右衛門も小雪ばかりが印象に残って、うーむ。

Amazon:
文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)
楽天:

魍魎の匣(1)【電子書籍】[ 京極夏彦 ]

-★★★★★
-, ,

執筆者:

関連記事

フランケンシュタイン(メアリー・シェリー、芹澤恵[訳]/新潮文庫)

「怪物」とは何かを考えながら読むと面白い 怪奇小説の古典だが、文学的にも読める 科学主義の時代を告げる作品か おススメ度:★★★★★ 【前口上】 『フランケンシュタイン-あるいは現代のプロメテウス』は …

伊達政宗 (1) 朝明けの巻 (山岡荘八/講談社)

高名な伊達政宗の誕生から最初の挫折まで 読みやすく、かつ、中身が深い 読み物として単純に面白い おススメ度:★★★★★ まず、言い訳がある。言い訳なので、回りくどいのが嫌な方はこの段落は飛ばして欲しい …

あしたのジョー 〜力石戦後から最終話まで(梶原一騎・原作/ちばてつや・画/講談社)

不器用なジョーの生き様に号泣必至 ラスト2巻の鬼気迫る緊張感 デッサンどうこうではなく漫画が上手い オススメ度:★★★★★ (あらまし)宿命のライバルと正々堂々と渡り合った結果、ジョーは力石に敗れる。 …

もし本当に武道館に行ったら、誰を推せばいいのか~2010年代アニメまとめ(6.5)

「2010年代アニメまとめ」特別編 アイドルのアニメについて 推し武道とフランシュシュとWUG アイドル度:★★★★★ 【推し武道について】 2020年1月からはじまった『推しが武道館いってくれたら死 …

バガボンド(1)~(10)くらい (井上雄彦/公団社)~あらすじとそれに関する軽いネタバレ、感想

初期の作風はまさに衝動的殺人事件そのもの 間に挟まる味のあるシーンで深みを与える 戦闘の続く序盤はまさに大傑作バトル漫画 おススメ:★★★★★ 何の因果か20年前を振り返る羽目に陥っており、その関係で …

アーカイブ