★★☆☆☆

ローズマリーの赤ちゃん(アイラ・レヴィン/ハヤカワ文庫)

投稿日:2017年1月5日 更新日:


(小説版の写真がないので映画版のパッケージです)

  • 率直な内容のモダンホラーの古典
  • キリスト教的世界観は日本時にはなじみが薄い
  • 妊娠中の方は特にお勧めできない
  • おススメ度:★★☆☆☆

モダン・ホラーの元祖として名高い本作品は、恐らく映画の方が有名だと思う。モダン・ホラーとは、直接的な残酷描写より、内面の恐怖を描いた作品らしいのだが、確かにこの作品も、一部に血や残酷描写があるものの妊婦の不安定な精神状態が主な「怖がらせ」のテーマになってる。

妊娠→出産の流れは非常にリアルに感じられ、主人公のローズマリーが感じる妊娠への恐怖がそのまま伝わってきて気持ちが悪かった。妊娠前後の母体は非常にデリケートな状態で、しかも、病気・事故などを除けば、人間が生命の危機にさらされる数少ないシチュエーションだ。この点に着目した作者の視点は、確かにモダン・ホラーの先駆けとして、秀逸なテーマだと感じた。

日本人からすると、テーマになっているキリスト教的世界観に実感がわかないので、今ひとつ怖さが伝わらないところもある。オチについても、最近の二段オチ、三段オチに慣れていると、少し物足りないが、中盤以降の徐々に人間不信に陥っていく様子はページを繰る手止まらない。妊婦や出産を経験していると怖さが倍増するだろう。

和風ホラーや心霊モノに飽きたら、一度手にとって見てはいかがだろうか。

(きうら)

-★★☆☆☆
-, ,

執筆者:

関連記事

樹海考(村田らむ/晶文社)

「樹海」とは、すなわち青木ヶ原樹海のこと 樹海の観光案内的な 樹海に眠る死体(自殺遺体)の探索的な おススメ度:★★☆☆☆ 【はじめに】 本書は、富士山の裾野にひろがる青木ヶ原樹海の軽い観光案内である …

深海のYrr〈中〉〈下〉(フランク・シェッツィング(著)、北川和代(訳)/ハヤカワ文庫)~概略と軽いネタバレ感想、先に〈上〉を

  海から異変が起こるSF系ディザスター小説 精密な科学的調査と緻密な人物的背景 しかし、どこか読みたい小説とは違う おススメ度:★★☆☆☆ この小説は非常に長い小説で、上・中・下巻があり、それぞれ5 …

家(栗本薫/角川ホラー文庫) ~感想と軽いネタバレ

新築の家と、家族にまつわる恐怖。 一人の主婦を襲う怪奇現象。 たいして怖くはない。 おススメ度:★★☆☆☆ 専業主婦の「規子」が、念願のマイホームを、郊外の新興住宅地に新築し(資金は夫が出したものだが …

自殺について 他四篇 (ショウペンハウエル/岩波文庫)

短い自殺への考察 論調は自殺の賛美 特に深い示唆はない おススメ度:★★✩✩✩ ショウペンハウエル(アルトゥル・ショーペンハウアー)は、Wikipediaの受け売りで書くと、ドイツの哲学者。仏教精神そ …

ゴジラが来る夜に 「思考をせまる怪獣」の現代史(高橋敏夫/集英社文庫)

ゴジラの存在意義を問う評論本 ゴジラによって変容する評論というもの 怪獣好きなら読んで退屈しないが…… おススメ度:★★☆☆☆ 今月、新作「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」を観た。その出来には正直 …

アーカイブ