- 人体破壊を極める本格スプラッターコミック
- 気持ちがいいほど徹底した殺戮描写
- 描写は古典的だがホラーへの本物の情熱がある
- おススメ度:★★★☆☆
ホラー漫画は基本的に苦手なのだが、時々気まぐれで買ってくることがある。本作もそんな一冊で、きっかけは忘れたが、たぶんどこかのサイトで仕入れた情報から手に取ったに違いない。
ホラー漫画の大家が描く、紛れもないスプラッター・ホラー。それは気持ちがいいほど徹底していて、いかに奇抜なアイデアで、いかに痛そうに人間を破壊するかを、きわめて真面目に緻密な画風で描いている。こんなもの、小学生時代に読んでいたら一生トラウマになっていてもおかしくない。
この文庫版の3巻には自分で書いた残酷な絵本を実行するパパが暴れまわる「黒い絵本」全編と「影亡者」の一部が収録されている。主人公の少年・想が夢に見た光景を手掛かりに犠牲者を助ける下りがあるのが、助ける気が全くないとしか思えない。むしろ様式美すら感じるほど感動的に手遅れ。美人だろう何だろうが、少しの迷いもなく「ぶっ殺される」様は痛快ですらある。
セリフ回しや漫画的な表現は少し古く感じるが、それでもあふれ出るホラーへのパッションは時代を超えている。とりあえず10ページ読んでだめだと感じたら絶対に続きは読まない方がいい。そこで耐えるか、笑えるかどちらかであれば全編楽しめるだろう。
個人的には、絵柄は古いが女性キャラが妙にかわいい。それを思い切り……。
(きうら)
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