★★★☆☆

神の左手悪魔の右手 (3) (楳図かずお/小学館文庫)

投稿日:2017年1月9日 更新日:

  • 人体破壊を極める本格スプラッターコミック
  • 気持ちがいいほど徹底した殺戮描写
  • 描写は古典的だがホラーへの本物の情熱がある
  • おススメ度:★★★☆☆

ホラー漫画は基本的に苦手なのだが、時々気まぐれで買ってくることがある。本作もそんな一冊で、きっかけは忘れたが、たぶんどこかのサイトで仕入れた情報から手に取ったに違いない。
ホラー漫画の大家が描く、紛れもないスプラッター・ホラー。それは気持ちがいいほど徹底していて、いかに奇抜なアイデアで、いかに痛そうに人間を破壊するかを、きわめて真面目に緻密な画風で描いている。こんなもの、小学生時代に読んでいたら一生トラウマになっていてもおかしくない。

この文庫版の3巻には自分で書いた残酷な絵本を実行するパパが暴れまわる「黒い絵本」全編と「影亡者」の一部が収録されている。主人公の少年・想が夢に見た光景を手掛かりに犠牲者を助ける下りがあるのが、助ける気が全くないとしか思えない。むしろ様式美すら感じるほど感動的に手遅れ。美人だろう何だろうが、少しの迷いもなく「ぶっ殺される」様は痛快ですらある。

セリフ回しや漫画的な表現は少し古く感じるが、それでもあふれ出るホラーへのパッションは時代を超えている。とりあえず10ページ読んでだめだと感じたら絶対に続きは読まない方がいい。そこで耐えるか、笑えるかどちらかであれば全編楽しめるだろう。

個人的には、絵柄は古いが女性キャラが妙にかわいい。それを思い切り……。

(きうら)


神の左手悪魔の右手(1) [ 楳図かずお ]

-★★★☆☆
-, , ,

執筆者:

関連記事

悪の教典(貴志祐介/文藝春秋)~あらすじとそれに関する軽いネタバレ、感想

人気者教師のとんでもない素顔を描く学園ホラー・ミステリ 残酷描写はかなり多め。 終盤はあの小説にそっくり。 おススメ度:★★★☆☆ このブログでも何度も取り上げている貴志祐介氏の作品。発表当年は「この …

日本代表を、生きる。(増島みどり/文藝春秋)

1998年フランスワールドカップに関わった人たちのインタビュー 現在日本のサッカー(選手)への提言 Jリーグなどについても おススメ度:★★★☆☆ 【はじめに】 先日襲来した台風21号は、25年ぶりの …

水の精(ウンディーネ)(フケー[著]・識名章喜[訳]/光文社古典新訳文庫)~あらすじと軽いネタばれあり

人間の魂を得た美しい女性の悲恋。 三角関係に巻き込まれたダメ騎士? 怪異は出てくるも、メルヘンのようです。 おススメ度:★★★☆☆ 騎士のフルトブラントは、ある女性の要請により「妖しの森」への「肝試し …

忌録: document X Kindle版(阿澄思惟/A.SMITHEE)

まあ、中途半端なフェイクドキュメント 実話ベースを謳っている 少々狙いすぎか おススメ度:★★★☆☆ 実際起った事件と思しき4つの事件「みさき」「光子菩薩」「忌避(仮)」「綾のーと。」を元に、出来得る …

オブ・ザ・ベースボール(円城塔/文春文庫)

一年に一回人が落ちてくる。それをバットで打ち返す人の話 不条理小説とも単純な人生の比喩とも取れる シャープな文章。怖くはないが少しだけグロイ所も おススメ度:★★★☆☆ 文學界新人賞受賞作、ということ …

アーカイブ