★★★☆☆

怪談・奇談(ラフカディオ・ハーン/角川書店)

投稿日:2017年1月10日 更新日:

  • 有名な怪談を含む42編の短編ホラー集
  • ほとんどは「昔ばなし」風だが、たまに強烈なガチ系の話が混じる
  • 最下段に完全ネタバレ紹介が若干あり。
  • おススメ度:★★★☆☆

今回は日本古来の怪奇譚を集めたラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の「怪談・奇談」を紹介。巻末の解説によれば「ハーンの作品からその真髄たる怪奇な話に絞って42編を集めたもの」で、短くて切れのある怪談がたっぷり楽しめる。

「昔ばなし」風の子ども向けの話もあるが、けっこう怖い話も混ざっている。「耳なし芳一」や「雪女」などの有名な怪談に「知ってる知ってる、その話、聞いたことある」と油断して読んでいると、いきなりガチ系の話が混ざってくる。本ブログでは基本的にはネタバレを避けて本を紹介しているが、短い話なので最下段に一部あらすじと感想をを紹介してみたい。ネタバレを回避したい方はご注意を。

総じて、ハーンの冷静な視点で怪談が書かれており、訳もいいのだと思うが、非常に読みやすい文章になっている。当時の西洋人の視点が、今の日本人の視点と重なるからかも知れない。ホラーとしては、たまに怖い話が混じっているという程度だが、民話や昔話系の階段に興味がある方は、手に取ってみて損はない内容となっている。

(きうら)


怪談・奇談 [ ラフカディオ・ハーン(小泉八雲) ]

(注)以下は完全なネタバレ
(1)「因果ばなし」
死にかけた妻が、夫の後妻になるかもしれないと「自分が思っただけ」の美しい下女を騙し、女の乳房を掴んだまま絶命。その手は外れず、ミイラ化したので切断したが、手首から先だけ外れず、夜ごと「その両腕は乳房をひっつかみ、おしつけ、責めさいなむのだった」。
被害を蒙った下女の雪子は、本当に夫とは無関係なのに単なる嫉妬だけでこの酷い仕打ち。雪子は尼僧になったのだが最後まで呪いは解けず、乳房にミイラの手を付けたまま消息不明。不条理かつ変態性を感じる「あなおそろしや」な一遍。

(2)幽霊滝の伝説
欲に目がくらんだ子連れの女が、滝にお供えしてある賽銭箱を「肝試し」の証拠として持ち帰る話。当然罰を受けるのだが、その罰が「背中に背負った赤子の首がなくなって血だらけになっている」と言うもの。
罰を与えるにしてもこんなスプラッター映画ばりの方法はないだろうと度肝を抜かれた。他の昔話風の話が、こういった話の前フリになっているようにも思える。

-★★★☆☆
-, ,

執筆者:

関連記事

中島らものたまらん人々 (中島らも/双葉文庫)

いそうでいない変なヒトビトの図鑑 絶妙な文章とイラスト 今話題のコンプライアンス的には猛烈にアウト おススメ度:★★★☆☆ 【はじめに】 本書は、著者(故人)自身とその周囲の「コワい」人々を語るエッセ …

ワルプルギスの夜(グスタフ・マイリンク、垂野創一郎[訳]/国書刊行会)

長篇2本と、短篇・エッセイ各数篇。 幻想的で、神秘主義的な作品群。 ユーモアのあるものもあります。 おススメ度:★★★☆☆ 本書は、「マイリンク幻想小説集」と題された、マイリンクの長篇と短篇〔とエッセ …

孤虫症(真梨幸子/講談社文庫)

怖い、エロい、痒い 読みやすいが万人向けなテーマではない シモネタ系悪趣味パラダイス おススメ度:★★★☆☆ 体中にブルーベリー大のコブが出来る奇病が発生。その中には無数の寄生虫が……という設定で「う …

水の精(ウンディーネ)(フケー[著]・識名章喜[訳]/光文社古典新訳文庫)~あらすじと軽いネタばれあり

人間の魂を得た美しい女性の悲恋。 三角関係に巻き込まれたダメ騎士? 怪異は出てくるも、メルヘンのようです。 おススメ度:★★★☆☆ 騎士のフルトブラントは、ある女性の要請により「妖しの森」への「肝試し …

海の底(有川浩/角川文庫)~あらすじとそれに関する軽いネタバレ、感想

SFパニックエンターテイメント小説 男の友情、というかそっち系 残酷描写あり。軽い読書向き。 おススメ度:★★★☆☆ 今回はSFで現代を舞台にしたモンスター・パニック系の小説を紹介。随分有名なので、ご …

アーカイブ