- 少女趣味と人体欠損要素あり
- 全体的に鬱展開で救いがない
- 絵は作者特有の緻密な画風
- おススメ度:★★☆☆☆【閲覧注意】
とある資産家のブラッドハレー家では「慈善事業」と称して、孤児院から少女を選び、養女としていた。表向きは、歌劇団での女優のスカウトという名目だったが実は悲惨な運命が待っていた……という導入で始まるこの物語は、基本的にはホラー・コミックというよりは残酷な寓話だ。
「無限の住人」で名高い作者であるが、あの作品のような娯楽性や高揚感はなく、むしろ「無限の住人」でも時々展開される鬱的ストーリーをクローズアップしたような作風だ。
なぜ閲覧注意かと言えば、物語の初期に少女(十代前半)の輪姦シーン及び人体欠損描写が省略なく描かれているためで、ありていに言えばその辺の変態性を期待して読み始めたとしても間違いなく後悔するだろう。そこにはエロティシズムはほとんどなく、ただただ、胸が悪くなるだけだ。
著者はほかにも、SM雑誌で無残絵(Wikipedia)も書いているとのことだったが、とにかく女性(少女)をいかに残酷に責めるかというのが主題であるので、その辺の趣味がない場合、この本を読む必然性はないと思われる。
作者の異常な嗜好を何か別のテーマを持たせて作品化しているものも多いが、この作品もその一つ。以前に紹介した小説「隣の家の少女」にも似ているが、殆どの読者は「読んで後悔」すると思う。逆に、残されたごく一部の読者には至高の作品となっている。
(きうら)
![]() ブラッドハーレーの馬車 [ 沙村広明 ] |