3行で探せる本当に怖い本

ホラーを中心に様々な作品を紹介します

★★★☆☆

硝子のハンマー(貴志祐介/角川書店) ~簡単なあらすじ・おススメ度※ネタバレなし

投稿日:2017年1月29日 更新日:

  • オーソドックスな密室物ミステリ
  • ホラー要素はほぼ皆無。主役たちの推理を楽しむ。
  • 女性キャラクターへの共感度はは低い
  • おススメ度:★★★☆☆

物語のジャンルはいわゆる密室物のミステリ。あらすじとしては、暗証や監視カメラ、監視する人間など、厳戒なセキュリティ網を突破し、ある会社の社長が「撲殺」される、その凶器と殺害方法を探るオーソドックスな展開だ。この作品の特徴は、主人公役が女性弁護士と鍵など知識に詳しい「防犯コンサルタント」のコンビというところか。

作者はホラー・サスペンスを得意としているが、今回は全くホラー要素のない「密室もの」と呼ばれる推理小説だ。個人的には、いわゆる「本格」と呼ばれるミステリーは苦手だが、密室トリックを貴志流の味付けで一気に読ませてくれる。

ポイントは、「防犯探偵」「奇抜な殺害方法」「犯人側の叙述」だろうか。詳しく書くとネタバレになるので控えるが、防犯のノウハウ部分だけでも面白く読める。ただ、犯人側の事情を詳しく描いているのが作者のこだわりだろうが、それでもちょっと中途半端にも思えるのが残念。また、探偵のキャラクターは面白いが、ややステレオタイプなキャラクター設定の女性キャラに好感が持てない。
貴志裕介氏の特徴として「読みやすい文章」「面白いテーマ設定」「しっかりとした取材」「ちょっとオタク風味」にあると思う。特に「気がつくと100ページ読んでいた」という筆力は抜群だ。テーマの面白さとあいまって、一度読み始めると止まらない作品がほとんど。

そういった他の作品と比べると、没入感はいまひとつだが、それでも200ページを越えたあたりから、最後まで一気読みしてしまった。作者の他の作品をひとつでも読んでいて、の作風に惹かれる所があるなら読んで損はないだろう。もし、一作も読んでないのなら、「黒い家」や「新世界より」の方がよりおススメだ。

蛇足だが、防犯探偵の姿の描写が「繊細で色白」と言う描写にもかかわらず、途中から柄本明の顔が浮かんで仕方なかった。苗字の読み方が同じだけなのだが……。

(きうら)


硝子のハンマー [ 貴志祐介 ]


-★★★☆☆
-, ,

執筆者:

関連記事

感染(仙川環/小学館)

「臓器移植」がテーマの医療系サスペンス とにかく軽快で展開が早い。軽い読書向き。 タイトルから想像されるようなグロ系描写はほぼ無い おススメ度:★★★☆☆ 「感染」は、臓器移植を中心とした医療知識を縦 …

ザ・スタンド(3)(スティーヴン・キング/文春文庫) ※レビューとおススメ度、軽いネタバレあり

疫病による「崩壊後」の世界に現れる善と悪の組織が描かれる 初登場の人物が多い、宗教観が強く分かりにくい等の理由で前半はややダレる 中盤からは再びスリリングに。キング節全開のエピソード満載 おススメ度: …

日本原発小説集(アンソロジー/水声社)

東日本大震災前(20~30年前あたり)に出版された原発小説集 反原発(原子力)をメインに 野坂昭如のものはおもしろい おススメ度:★★★☆☆ 先日友人から、野坂昭如の『乱離骨灰鬼胎草』という小説が面白 …

にんじん(ルナール[著]・中条省平[訳]/光文社古典新訳文庫) 

「にんじん」とよばれる少年と、その家族の「短編連作」。 何事にもめげない「にんじん」の逞しさ、強情さ。 時折みられる残酷さ。 おススメ度:★★★☆☆ 家族から「にんじん」と呼ばれて、いつもからかわれて …

荒神(宮部みゆき/朝日新聞社) ~あらすじとおススメ度 ※大きなネタバレなし

元禄時代に現れた怪獣と人々の戦いが真面目に描かれる 登場人物は多いが、丁寧な描写。残酷表現もあり 感想は「ギャーかいじゅうぅ!」に尽きる おススメ度:★★★☆☆ 本の帯に書かれていた文句は「東北小藩の …

アーカイブ