3行で探せる本当に怖い本

ホラーを中心に様々な作品を紹介します

★★★☆☆

妖怪始末人トラ・貧!! 2 (魔夜峰央/秋田文庫) ~解説と「胴面(どうのつら)」のあらすじ

投稿日:2017年2月12日 更新日:

  • 基本はパタリロと同じノリのギャグマンガ
  • 頼りない二人(トラちゃんと貧乏神)が妖怪退治をする一種のヒーローもの
  • 胴面は胸糞の悪い話として有名。それ以外は全編ギャグ。
  • おススメ度:★★★☆☆

日曜日なので、少し肩の力を抜いてコミックの紹介をしてみたい。ジャンルはギャグマンガで、あの「パラリロ」で有名な魔夜峰央氏の作品だ。タイトル通り妖怪始末人の7歳の虎馬猫太郎(トラちゃん)と貧乏神のコンビが悪さをする妖怪を退治する話で、基本的には「パタリロ」などと同じノリのギャグマンガだ。

で、なぜこの2巻かというと、ネットでも「胸糞の悪い結末の漫画」として、よく紹介されている「銅面(どうのつら)」というエピソードが収録されているため選んでみた。実はこの「トラ・貧」は「妖怪始末人トラウマ!!」の続編のシリーズであり、元のシリーズに比べるとシリアス度が若干上がっているが、この話だけは段違いに「むごい」話だ。

あらすじはこうだ。子供ばかりが妖怪によって殺される事件が発生。トラちゃん達の所属する「妖怪始末人ギルド」がその妖怪に賞金を懸けた。トラちゃんと貧乏神は、聞き込みを開始するのだが、心当たりのある青年と出会う。調査をするうちに、トラちゃんはその青年をお兄さんのように慕うのだが、妖怪「胴面」は人間に擬態する能力があり……という流れになっている。結末はあえて書かないが(ネットで調べれば多分出てくる)、トラちゃんにとって非常に辛い結末となっている。確かに「胸糞悪い」話だ。

個人的には、ギャグマンガの中に急にシリアスな話が混ざるのは嫌いなので、シリアス要素のない前シリーズの方が好みだが、この後4巻で登場する座敷童の「童子(わらしこ」というキャラクターが中々可愛いのでお勧めだ。前シリーズには浦原瀬奈可(うらはらせなか)という背中に口がある始末人も出てくるが、こちらは余り可愛くない。結構好きだが。

どちらにしても、上記のエピソードを除けば基本は愉快なギャグマンガなので「パタリロ」などのノリが嫌いでなければ、このシリーズを初めから読まれるのがおススメだ。

(きうら)


妖怪始末人トラ・貧!!(2) [ 魔夜峰央 ]

b

-★★★☆☆
-, , ,

執筆者:

関連記事

鬼の跫音(道尾秀介/角川文庫)

現代的な会談の短編集 人間の歪んだ悪意・鬼がテーマ それなりのオチ おススメ度:★★★☆☆ 人間の持つ「悪意」とそれが生まれる原因をテーマとした、現代的な怪談ともいえる短編集。題名にある「鬼」とは人の …

入門 現代物理学 素粒子から宇宙までの不思議に挑む (中公新書)

タイトルを見てガクッと来ましたね? 物理学の外観をわかりやすく解説 が、高速解説過ぎて「なるほど分からん」状態 おススメ度に:★★★☆☆ 本ブログの読者の方には興味がないと思うのだが、殺伐としたホラー …

覘き小平次 (京極夏彦/角川文庫) ~あらすじとおススメ度、ネタバレなし

「嗤う伊右衛門」に続く古典怪談の京極風リメイク インパクトはないが、ダメな主人公を魅力たっぷりに描く 残酷描写は軽めで読みやすい おススメ度:★★★☆☆ 四谷怪談を再構築した「嗤う伊右衛門」に続いて、 …

自殺の歴史(ロミ、土屋和之[訳]/国書刊行会)~読書メモ(017)

読書メモ(17) 古今東西自殺のエピソード あまりこわくはない おススメ度:★★★☆☆ 【本書について】 図書館で借りてきて、ちまちまと読みすすめていった本。読む前は、それほど怖い本ではないだろうなと …

エデン郡物語(ジョイス・キャロル・オーツ、中村一夫〔訳〕/文化書房博文社)~読書メモ(42)

(Amazonに画像無) 読書メモ(042) 「ジョイス・キャロル・オーツ初期短編選集」 「北部のフォークナー」 おススメ度:★★★☆☆ 去年ようやくレムの『エデン』を読んで、そのことを調べているとき …

アーカイブ