★★☆☆☆

墓地を見おろす家 (小池真理子/角川文庫) ~あらすじ、感想、軽いネタバレ

投稿日:2017年2月15日 更新日:

  • 訳ありマンションに引っ越してきた一家に襲い掛かる怪異
  • 直球型心霊系ホラー小説。怪しい雰囲気は楽しめる。
  • 余り整合性を重視していないので、オチ重視の方は注意。
  • おススメ度:★★☆☆☆

都心に位置する新築の2LDKのマンション。全戸南向き。清閑。買物交通至便。価格は破格の3500万。ただし、そこは「広大な墓地を見下ろす」ロケーション。そこに移り住んできた、加納一家。夫と妻と、幼い娘、そしてペットの小鳥と犬。小鳥の「ピヨコ」が死ぬところから、次々と不吉な出来事が起こり始める。もともと半分しかいなかったいなかった住人も次々と引っ越していき……。

という、実に面白そうな導入で始まる現代を舞台にした正真正銘の心霊系ホラー小説。じわじわと不幸が加速していく様子は、「リング」の鈴木光司氏の「仄暗い水の底から」のように、明らかに問題のある住居から「出て行くに出て行けない」事情で怪奇現象に巻き込まれていく。

しかしこれが結構設定が甘くて、突っ込もうと思えば突っ込める要素が満載だ。そもそも、誰が何の目的で襲ってくるのかがよく分からない。近く墓地の亡霊といえばそうなのだが、そういうことなら我が家の近くにも墓地はいっぱいあるが、隣の住人が次々死んだという話は聞かない。さらに、周囲の人間は簡単に死ぬのに、主人公一家だけ中々本格的に責めてこない。それがなぜかはよく分からない。一応、夫婦の間にも事情があるのだが、それも物語の装置として機能しているとは思えない。

そういう意味ではこれは完全な「雰囲気ホラー」で、例えれば遊園地のお化け屋敷に怖がる目的で入っていくようなものだ。オチに期待してはいけないし、整合性のある解決を望んでもいけない。そこに「霊」がいるのだから、そういうものだと思って楽しむのが正解だ。

その「雰囲気」は結構いい感じに描かれているので、心霊系ホラーが好きな方は、一度、手に取ってみてはどうかと思う。

(きうら)


墓地を見おろす家 [ 小池真理子 ]


-★★☆☆☆
-, ,

執筆者:

関連記事

深海のYrr〈中〉〈下〉(フランク・シェッツィング(著)、北川和代(訳)/ハヤカワ文庫)~概略と軽いネタバレ感想、先に〈上〉を

  海から異変が起こるSF系ディザスター小説 精密な科学的調査と緻密な人物的背景 しかし、どこか読みたい小説とは違う おススメ度:★★☆☆☆ この小説は非常に長い小説で、上・中・下巻があり、それぞれ5 …

奴隷小説(桐野夏生/文春文庫)

怪奇小説…いや幻想小説家 タイトルほどのインパクトはない どれもプロローグっぽい感じ おススメ度:★★☆☆☆ 自虐読書というものがあって、私は新年早々初出勤に合わせて「新装増補版 自動車絶 …

ウンディネ (竹河聖/ハルキ・ホラー文庫) ~ほぼネタバレ感想

夜光虫(らしきもの)を海で拾って不幸に陥るカップルの話 ホラーはホラーだが、かなりファンタジー。タイトルに納得 すごく……読みやすいです おススメ度:★★☆☆☆ 「ああ、この話はこのまま投げるな」と、 …

空飛ぶタイヤ(上)(池井戸潤/講談社文庫)

きわめて真っ当な企業小説 本当に予想通りの展開 随所にいい台詞もあるが・・・・・・ オススメ度:★★☆☆☆(上巻のみの評価) 発刊当初からそのインパクトのあるタイトルからすごく気になっていた一冊。この …

実録怪異録 死に姓の陸 (西浦和也/竹書房ホラー文庫)

実話短編怪談集。メインタイトルは連作 堂に入った語り口で安定して読める 実話だと思うが、霊現象そのものには「?」 おススメ度:★★☆☆☆ こういうサイトを運営していると時々読みたくなる実話怪談シリーズ …

アーカイブ