3行で探せる本当に怖い本

ホラーを中心に様々な作品を紹介します

★★☆☆☆

恐怖箱 袋小路(神沼三平太/竹の子書房)~概要と軽いネタバレ、感想 ※Kindle Unlimited対応

投稿日:2017年3月2日 更新日:

  • 実話の短編エピソードを100話収録
  • 玉石混交の内容で、軽い話も多い
  • バラエティ豊か。気軽な読書に
  • おススメ度:★★☆☆☆

百物語(参加者が順番に怖い話を披露する会)を開催している著者が実際に聞いた話をまとめた直球型実話怪談集。この作品の特徴は、本当に100のエピソードが収められていること、そのため、一話一話がとても短いことだ。電子書籍版で、文字の大きさにもよるのだが、1ページで終わるものもあるし、多くても5ページ程度だ。時間にして1分~5分くらいでワンエピソードが終わる。

中身は、伝文調の「本当にあった怖い話」系だが、これが実に玉石混交で、いい話とそうでもないものの差がけっこう大きい。私見だが「玉」の方が少なく、実際に現場で聞いたら怖いかもしれないが、オチもなく怖くもない話も多い。と、思って著者の「あとがき」を読むと「本にする際にこぼれてしまった様々な体験集を中心に編みました」と、あるので、捨ててしまうには惜しいが、何か足りなかった話が多いのも納得だ。

その中でも、もちろん印象に残るエピソードもある。例えば、妙な後味が面白い、大学生が学生時代に電車の中で体験した奇妙なエピソード「砲丸」、産婦人科で働く看護師のエピソード「まとわりつく」は、結構嫌な後味がある、逆にちょっと感動系の「生まれ出づる悩み」は、奇妙だが心が温まる話だ。他にもユーモラスな「戻ってきた話」や「そんな日常」、不気味で恐ろしいカラスにまつわるエピソード「ガラスの瞳」など、打率でいえば一割程度だが何か心の琴線に引っかかるものがある。

とはいえ、ほとんどは「ふーん」で終わる話だが、この本の売りは「実話」かつ「短い」ことで、例えば電車などでの短い読書や百物語のシミュレーションには向いていると思う。あと、非常に珍しいことだが、著作権が「表示-非表示」ライセンスに準じるということで、朗読やコミック化は著者名と書作名を明記すれば自由とあるので、マンガのネタ本としても使えるだろう。
現在のところ「Kindle Unlimited」対応なので、プライム会員の方は気軽に読まれてはどうかと思う一冊だ。

(きうら)



-★★☆☆☆
-, ,

執筆者:

関連記事

岡山女(岩井志麻子/角川ホラー文庫) ※ネタバレなし

霊が見られる霊能士の短編小説集 幻想的な作風で怖くない 読後感は爽やかだが求めてたものとは違う おススメ度:★★☆☆☆ 日本人の皮膚感覚を逆なでするようなデビュー作「ぼっけえ、きょうてえ」が、極めてよ …

自殺について 他四篇 (ショウペンハウエル/岩波文庫)

短い自殺への考察 論調は自殺の賛美 特に深い示唆はない おススメ度:★★✩✩✩ ショウペンハウエル(アルトゥル・ショーペンハウアー)は、Wikipediaの受け売りで書くと、ドイツの哲学者。仏教精神そ …

実録怪異録 死に姓の陸 (西浦和也/竹書房ホラー文庫)

実話短編怪談集。メインタイトルは連作 堂に入った語り口で安定して読める 実話だと思うが、霊現象そのものには「?」 おススメ度:★★☆☆☆ こういうサイトを運営していると時々読みたくなる実話怪談シリーズ …

日出る国の工場(村上春樹・著/安西水丸・画/新潮文庫)

工場見学の文章とイラスト どこを切っても村上春樹 30年前のドキュメントで時代を感じる おススメ度:★★☆☆☆ 初版発行が1987年平凡社となっている。およそ30年前である(2018年現在)。そもそも …

ファントム・ピークス(北林一光/角川文庫)~ネタバレなしのモヤモヤする感想

山で起こる謎の失踪事件を追う 可もなく不可もない文章 オチにはちょっとがっかり おススメ度:★★☆☆☆ 困った。ジャンル分けや詳しい感想を書くと、ネタバレに直結するという本なので、非常に扱いづらい。し …

アーカイブ