- 「善」の停滞と葛藤を描くシリーズ第4弾
- 前半は退屈、後半に焦点がある
- ナディーンに注目。表紙の美しい女性が彼女(だと思う)
- おススメ度:★★★☆☆
第4巻は、<フリーゾーン>つまり「善」側の人々の葛藤、あるいは、停滞が描かれる。作中としては、もっとも地味な展開をする巻で少々忍耐力がいる。もし、この小説を読んでいない方がいれば、先に(1)、(2)、(3)の解説を読んでほしい。
疫病でほとんどの人間が死んだアメリカを舞台に、生き残った人々が善と悪に別れそれぞれの思惑と葛藤をじっくりと描く長編小説の第4巻。冒頭にも書いたように、今回は悪の側の勢力の描写はほとんどない。「善」とは何かをじっくりと考える一巻だ。表面的なグロテスク度はかなり低い。
あらゆじは、冒頭に「善」側のリーダーが姿を消すところから話を始まる、混乱、登場人物の激しい葛藤、そして予定通りのジョーカーの発動、最後に山場がある。
最後の山場を除けば、大きなアクションは少ないが、気に入った点を以下に書いてみる。
最初から危ない感じだったハロルド。彼については、おおよそ予想通り。ただ、途中の部分での描写に説得力がある。彼は哀れなキャラクターだ。知らない人には分からない例えで申し訳ないが、任天堂のRPG「マザー」に出てくるポーキーというキャラを連想させる。
そして、個人的に動向が気になっていたナディーン・クロス。彼女もある意味、必然的な行動をとるようになるのだが、非常に興味を惹かれる。ネタバレはしたくないが、表紙の彼女(たぶん)の絵を見れば、今回の彼女の気持ちが的確に描写されていると思う。
作者は「指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)」を意識していたと言っているが、その意味も分かるようにできている。全体の話の流れが同じだからだ。。次回は最後となるので、その辺も考えて見られればいいなと思っている。
全体的には、余り怖くないし、普通に読めば退屈なシーンもあるので、評価は少し下げた。しかし、ここまで読んだら、最後までぜひ読んでほしい。
ちなみに、賢く冷静な登場人物だが腕力が全くないベートマンというキャラクターがいるが、彼の愛犬が非常にかわいい、かつ、カッコいい。短いシーンだが気に入った。犬は人間の最良の友達の一つだと思う。
(きうら)
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