- 閲覧「超」注意。SMポルノ小説です
- 歴史もので、男女がとにかく変態行為で責められる
- 長大な文章。一部の変態紳士におススメ。
- おススメ度:★★★★☆
最初に断っておきたいが、今回紹介するのは「ポルノ小説」だ。しかも、半端ない「SMポルノ小説」である。そういうジャンルに興味がない、あるいは嫌悪感を持つ方は以下の紹介を読まずに、別の本を探された方がいい。ただし、いろんな意味で「怖い」のは確かだ。
歴史ものの設定で、あらすじはこんな感じ。武家の若妻の浪路は、美しく剣の腕も優れた28歳の女性。父親の仇討に、同じく美少年で弟の菊之助を連れて旅に出発する。犯人は見つけるが、そこで罠にかかってつかまり、そこから「性的な」責め苦が延々と続く。
まず、この小説の80%以上が、女か男が性的な暴行を受けること、そして、それが上下巻、文庫本でいえば1300ページを超える長さに渡って描かれている点が「異常」だ。例えば、上記のストーリーを思いついたとして、誰が42文字x17行x1300ページでそれをポルノ小説にしようと思うのか。仮に文字がすべて埋まっていたとして、400字詰め原稿用紙で2320枚の枚数だ。ここにSM小説の大家とされた団鬼六の執念が見える。
内容は、考えられるあらゆる変態行為が、読みやすい文章で、ひたすら描かれている。強姦から始まって、口淫行為、緊縛やむち打ちなどは当たり前。近親相姦、レズ要素、ホモ要素、スカトロ要素、道具による責め、さらに局部切断の残虐行為まで、ありとあらゆる変態要素を含む。
さらに、精神的に「堕とす」ことが詳細に描写されており、強気で清純な主人公の波路が、淫婦にまで変えられる描写が執拗に繰り返される。弟も同じだ。とにかく、相手を屈服させる描写が多い。これは精神的SM行為の極致だと思う。
私も男性なので、そう言ったポルノ小説やコミック、映像はもちろんある程度観ている。しかし、これほどまでに長大かつあらゆる変態要素を盛り込んだものは見たことがない。ロリータ要素を除けば、ほとんどのジャンルが網羅されていると言っても過言ではない。まさに変態行為の大博覧会の様相を呈する。
著者の作品で、ポルノ以外の一般小説で私が読んだことがあるのは、麻雀を扱った「真剣師小池重明 」だが、これも傑作小説で「カイジ」で有名な福本伸行氏など、麻雀小説・コミックというジャンルに多大な影響を与えたと思っている。同じような長編でポルノ的小説・千草忠夫氏の「闇への供物1
」も読んだが、それと比べても圧巻の内容となっている。
一応、怪談風のオチが付くが、正直ストーリーなんてどうでもいい、とにかくエロい文章を読みたいという人向けだ。しかし、その長さと執拗さ、詳細な描写はほとんど「怨念」に近い。これを読み通して面白いと思う人は少数だろうが、一部の変態紳士には超おススメだ。今回はその「怨念」に敬意を表して★4としたが、普通の小説を読みたい方は絶対に手を出さない方がいい。必ず後悔するだろう。
しつこいが、爽やかな土曜の朝に読むような本でないことは明記しておく。
(きうら)
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