3行で探せる本当に怖い本

ホラーを中心に様々な作品を紹介します

★★★★★

ザ・スタンド(5) (スティーヴン・キング/文春文庫) ~あらすじとおススメ度

投稿日:2017年3月23日 更新日:

  • 大長編パンデミック系ホラーの完結編
  • 善と悪が交錯するダイナミックな展開
  • 不思議な後味と感動
  • おススメ度:★★★★★

第5巻は、強力なインフルエンザ・ウイルス<スーパーフルー>が実験施設から漏洩したことで、アメリカに住む人々が凄まじい勢いで死んでいく世界から始まった物語の完結編で、残された人々は<善>と<悪>に分かれて、正面衝突する。旅に出た<善>の人々は、<悪>は倒せるのか、どちらへ行こうか揺れ動いていた人々の運命は……ここまで読んで来られた方にはもう、説明不要。とにかく読むしかない。

ちなみにここから読まれた方は(1)を参照してください。

と、いうわけで細かいストーリーは何を書いてもネタバレになるので、あらすじは(4)の続きとだけ書いておく。ちゃんとこの巻でスッキリ完結するので、その点は心配ない。前巻の最後で、だいたい予想できるが、あのキーキャラクター二人が実に面白い役割を果たす。そこが注目点だ。

スティーヴン・キングは、代表作を何作品か読んだが(ITやミスト、ミザリー、グリーンマイル、アンダーザドームなど)、間違いなくこの作品が一番面白いと思う。キャラは立っているし、話も面白いし、何より怖い。古い小説だが、鳥インフルエンザで大騒ぎしていることを思うと、却ってリアリティがあるくらいだ。前にも書いたが「(新しい作品を書いたのに)いまだにこの作品のことを聞かれる」と作者自身が冗談交じりにぼやいていたがそれも納得の出来だ。

正直、たくさんの本を読むので、忘れている本も多い。しかし、この作品だけは不思議と記憶に深く残っている。ホラーというジャンルを超えて、人間の真実に迫る深さがあるからだと思う。作者自身が目指したダークな指輪物語は、成功したといっていいだろう。

もし、このレビューを読んで「ザ・スタンド」を読んでくれた人が一人でもいれば、非常に嬉しい。ありがとうございました。

(きうら)


(楽天)


-★★★★★
-, , ,

執筆者:

関連記事

わしらは怪しい探険隊 (椎名誠/角川文庫)~お正月限定企画「怖くない」本(きうら)

離れ小島での男だけのキャンプ・エッセイ 「昭和軽薄体」と称された椎名誠の文章技術の真骨頂 笑いとスリルと優しい感動も味わえる おススメ度:★★★★★ 昨年、本サイトをご覧頂いた方もそうでない方も、この …

新版 指輪物語〈1〉旅の仲間 上1 (J.R.R. トールキン (著)/田中明子 (翻訳)/評論社文庫) ~あらすじと感想

現代ファンタジーの元祖ともいえる偉大な名著 弱きものが勇気で悪を撃つ感動の物語 「読みにくさ」は万人の認めるところ おススメ度:★★★★★ 一般的には、映画「ロード・オブ・ザ・リング(Ama)」と知ら …

寄生獣(1)~(10)(岩明均/ビッグコミックス) ~あらすじとそれに関する軽いネタバレ、感想

人間に寄生する異生物との戦いを描く 主人公と相棒のミギーの巧妙な掛け合い 感動的な物語。もはや言うまでもなく大傑作 おススメ度:★★★★★ 「何を今さら」度満載で紹介するのが、今回の寄生獣だ。映画化、 …

まんが日本昔ばなし ホラー回ベスト7

私(きうら)的セレクト 幾つかは詳細なあらすじ付き いつかクリアなオリジナル版を観たい おススメ度:★★★★★(総合) 私にとって「まんが日本昔ばなし」は特別なアニメだった。それこそ物心ついた時から成 …

海豹島(久生十蘭/ゴマブックスor青空文庫) ~あらすじメイン・一部ネタバレあり

絶海の孤島での、ミステリ的挿話。 読みやすい文章。 かなしげなラスト。 おススメ度:★★★★★ 舞台は、「樺太の東海岸、オホーツク海にうかぶ絶海の孤島」である「海豹島」。時は大正元年三月、「樺太庁農林 …

アーカイブ