- 大長編パンデミック系ホラーの完結編
- 善と悪が交錯するダイナミックな展開
- 不思議な後味と感動
- おススメ度:★★★★★
第5巻は、強力なインフルエンザ・ウイルス<スーパーフルー>が実験施設から漏洩したことで、アメリカに住む人々が凄まじい勢いで死んでいく世界から始まった物語の完結編で、残された人々は<善>と<悪>に分かれて、正面衝突する。旅に出た<善>の人々は、<悪>は倒せるのか、どちらへ行こうか揺れ動いていた人々の運命は……ここまで読んで来られた方にはもう、説明不要。とにかく読むしかない。
ちなみにここから読まれた方は(1)を参照してください。
と、いうわけで細かいストーリーは何を書いてもネタバレになるので、あらすじは(4)の続きとだけ書いておく。ちゃんとこの巻でスッキリ完結するので、その点は心配ない。前巻の最後で、だいたい予想できるが、あのキーキャラクター二人が実に面白い役割を果たす。そこが注目点だ。
スティーヴン・キングは、代表作を何作品か読んだが(ITやミスト、ミザリー、グリーンマイル、アンダーザドームなど)、間違いなくこの作品が一番面白いと思う。キャラは立っているし、話も面白いし、何より怖い。古い小説だが、鳥インフルエンザで大騒ぎしていることを思うと、却ってリアリティがあるくらいだ。前にも書いたが「(新しい作品を書いたのに)いまだにこの作品のことを聞かれる」と作者自身が冗談交じりにぼやいていたがそれも納得の出来だ。
正直、たくさんの本を読むので、忘れている本も多い。しかし、この作品だけは不思議と記憶に深く残っている。ホラーというジャンルを超えて、人間の真実に迫る深さがあるからだと思う。作者自身が目指したダークな指輪物語は、成功したといっていいだろう。
もし、このレビューを読んで「ザ・スタンド」を読んでくれた人が一人でもいれば、非常に嬉しい。ありがとうございました。
(きうら)
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