3行で探せる本当に怖い本

ホラーを中心に様々な作品を紹介します

★★★☆☆

第三の女(夏樹静子/集英社文庫)~あらすじとそれに関する軽いネタバレ、感想

投稿日:2017年3月27日 更新日:

  • 交換殺人がテーマのミステリ
  • ホラー要素と呼べるものは無し
  • 実態はラブストーリー
  • おススメ度:★★★☆☆

アガサ・クリスティーにもひらがなで読むと同名の本があり、内容を見る限り、「自分が誰を殺したのか分からない」部分にかけて、タイトルを漢数字にしたのはないかと思われる。文庫版の初版が1980年とかなり古いので、いま、読んで正当な評価になるかどうかは分からない。ただ、2008年に32版までいっているので、相当売れた本なのだろう。

(あらすじ)医師と謎の女がパリで出会って、ひょんなことから「互いに殺したい相手」を告白し合う。医師はそれを座興と考えていたが、現実に「殺しが起きて」しまう。本当にあの謎の女が殺したのか……という流れで殺人事件が起こる。ごくごくまっとうなミステリ。

話のオチは現代ではよくある手なのだが、出版当時はかなり斬新だったのではないかと思う。偉大な先達ということになるのだろう。怖い要素としては、直接的な残酷描写というよりは「女心」が怖いという感じで、要するに構造はミステリ+ラブストーリーだ。

告白するほどのこともないが、また、蔑視と思われたくもないのだが、いわゆる女性が書いた文章に苦手意識がある。余程巧みな作家でもない限り、文章から「男」と「女」の違いがはっきり分かる。例えば男性作家が全く触れないアクセサリーや心理描写があったりする。この小説も、そう言った傾向はあるが、文章自体は真面目で硬質、読みやすい本だと思う。
いかんせん「旬」は過ぎた感はあるが、それなりに楽しめるミステリなので、それ系がお好きな方はご一読を。

(きうら)


(楽天)


-★★★☆☆
-, ,

執筆者:

関連記事

松永兄弟(小野寺 秀樹/Kindle・ペーパーバック) ※ネタバレあり

宇宙人に侵略された世界を描く硬質な長SF 著者は半プロ、そういう感じの文章 とはいえ、最後まで読みたくなった おススメ度:★★★☆☆ 約7か月に渡る資格試験3連戦が終わり、ようやく「趣味の本」を読める …

グリーン・マイル(1)~(3)(スティーヴン・キング/新潮文庫)

ある不思議な黒人死刑囚と看守たちとの物語 残酷でグロテスク、そしてどことなく不穏 前半では「何を意味するか」は語られない おススメ度:★★★☆☆ この「グリーン・マイル」は、私のような40代には忘れら …

深い河 (遠藤周作/講談社文庫)

インドで人生の意味を問う群像劇 深い……のかどうなのか、私にはわからない 基督教への分かりやすい考察 おススメ度:★★★☆☆ (あらすじ)妻をがんで亡くした男、基督教徒の男を弄んだ女、ビルマの戦場で地 …

今週読んだ作品(12月第3週)と、軽いアニメ感想 ~宝石と詩の世界

鉱物 人と文化をめぐる物語(堀秀道/ちくま学芸文庫) 日本の詩歌(大岡信/岩波文庫) アニメ『宝石の国』(原作:市川春子)についての感想。 鉱物と人や文化との関わり(一冊目)。 日本の古代から中世の詩 …

異能バトルはスティーヴン・キングのなかで〜「成城のコラム(111)」

「コラム111」 超能力をもつ子どもたちの反乱。 世界中に広がる謎の組織とは。 オススメ度:★★★☆☆ 【近況〜季節の変わり目】 涼しくなったかと思ったら暑くなり、色々と調整(?)が難しいことがありま …

アーカイブ