3行で探せる本当に怖い本

ホラーを中心に様々な作品を紹介します

★★★★☆

犯人に告ぐ(雫井脩介/二葉文庫)

投稿日:2017年3月27日 更新日:

  • 劇場型犯罪を追う警察小説の傑作
  • 多少のけれん味はあるが緊迫した展開
  • 真に迫るラスト。読ませる。
  • おススメ度;★★★★☆

これも映画化もされているようなので、有名な作品だ。いわゆる「劇場型犯罪(Wiki)をテーマにした緊迫のサスペンス小説。少々力みすぎとも思うが、一気に読ませる力がある。
(あらすじ)「犯人よ、今夜は震えて眠れ」と告げる警察官。連続児童殺人事件の姿見えぬ犯人に、警察はテレビ局と手を組んだ。史上初の劇場型捜査が始まる。やがて、警察の思惑を超えて、それは一種の犯罪ショーに発展してくが……という筋書き。

主人公の巻島史彦は捜査責任者として奔走する。時には上部に、ときにはマスコミの批判にさらされながら孤軍奮闘する。まず、その熱い姿に感動する。そして、諦めずに徐々に真相に迫っていく緊迫感。なかなか良くできた小説だ。

後半、少々派手になり過ぎる感もあるが、単なるエンターテイメント小説としての域を超えて、楽しめるいわゆる「警察小説」となっている。児童殺人がテーマになっているが、それほど恐怖をあおるものではなく、むしろ警察内部の緊迫したやり取りを楽しむ小説だ。怖いというより、面白い、それが率直な印象だ。
一言でいえば、プロが書いたプロらしい警察小説。読んで損はないと思う。こういうジャンルに興味がある方はぜひ、読んでみてはどうだろうか。ケレンミもたっぷりなので、そう言うのが嫌いな人は苦手かも知れない。私は少なくとも面白かった。

それにしても、テレビのニュースを見れば、毎日殺人や誘拐のニュースが報道されている。そんな場当たり的に報道せせず、いっそグラフにして、マップ上にマークを置いて、いつでも調べられるようにした方がいんじゃないかと思う。怖い世の中だ。平和な日本だが、皆様も決して気を抜かないようにお気をつけあれ。

(きうら)


(楽天)


-★★★★☆
-, ,

執筆者:

関連記事

それでも人生にイエスと言う(V.E. フランクル[著] 、山田邦男 [翻訳]、‎ 松田美佳 [翻訳])

生きる意味を真正面から問う易しい哲学書 「夜と霧」の著者の講演集 ある意味厳しい問いかけもある おススメ度:★★★★☆ 生きる意味と価値についてかたるということは、こんにち、これまでにもまして、なくて …

パシフィック・リム(ギレルモ・デル・トロ監督)~あらすじと感想、続編について

清く正しい「怪獣」映画 日本アニメxハリウッド映画 穴もあるが日本人「男子」にはいい映画 おススメ度:★★★★☆ ギレルモ・デル・トロ監督と言えば、メキシコ出身の元はマニアックなホラー系映画監督である …

バーナード嬢曰く。5巻(施川ユウキ)

「絶景本棚」から何かを考える 必読の本とは? 必聴の曲とは? オモシロ度:★★★★☆ ちょうど現在、この前出版された『絶景本棚 2』(本の雑誌社)を読んでいる(眺めている)。続編である今回のやつも、だ …

パンドラの少女(上)・(下)(M・R・ケアリー/創元推理文庫) ~あらましと感想、軽いネタばれ

不気味な存在が跋扈する、ポスト・アポカリプスもの。 荒廃した世界での、命をかけたサバイバル。 自分は何者なのか、ということに苦悩する少女。 おススメ度:★★★★☆ 世界は「<大崩壊>」という人類の危機 …

水域(椎名誠/講談社)

怪しくも美しい水のディストピア 椎名誠史上、最高の抒情性 美しいラスト、SFファン必読 おススメ度:★★★★✩ この小説を読もうと思った方、それは正解だ。ハルキストがいるとすれば、私はシーナリスト。そ …

アーカイブ