3行で探せる本当に怖い本

ホラーを中心に様々な作品を紹介します

★★★★★

ルパン三世 カリオストロの城(宮崎駿/アニメ映画) ~ネタバレ感想・観てない人は注意すること

投稿日:2017年4月12日 更新日:

  • 情熱に満ちた宮崎駿監督の最高傑作
  • ナウシカより、シータより、さつきより、キキより、ラナより可愛いヒロイン(異論は認める)
  • これが「ルパン三世じゃない」というモンキー・パンチの抗議も分かる
  • おススメ度:★★★★★

先日「千と千尋の神隠し」を思いっきり貶したら、抗議文が届いたので、今回は宮崎駿先生を思いっきり褒めることにします。褒め殺しじゃありませんよ。マジで。

(あらすじ)みんな大好きルパン三世&次元大介は盗んだ札束が偽札だと知る。それは、ヨーロッパの小国「カリオストロ公国」という架空の国に元凶があると知る。偽札を追った二人は、クラリス姫という可憐な王女と出会い、カリオストロ伯爵の悪行の根源に迫っていく……というお話。

いいエンターテイメント作品には三つの約束がある。

1.悪者が罰を受けるハッピーエンドで終わる(でも少し切ない)
2.何度観ても面白い
3.ヒロインがカワイイ。

その全てを満たしているのがこの作品だ。私はたぶん30回以上観た。最初から最後までセリフをほとんど覚えているのは、この映画くらいだ。その理由を詳しく解説しよう。取り敢えず、インスタントラーメン(赤いきつね)を食ってから続きを書くが、読者の皆様には時差はないはずだ。

1.悪者が罰を受けるハッピーエンドで終わる(でも少し切ない)
思いっきりネタバレだが、この作品で明確に「死ぬ」のはカリオストロ伯爵だけ。それ以外は、誰も死なない。まるで水戸黄門か暴れん坊将軍のような「正義が勝つ」展開。これぞ、ハッピーエンド。でも、ルパンは最後までクラリスを抱きしめない。なんと切ない事か。自分が悪党だから、清純な女の子を抱きしめられないのだ。切ない。でも、それが男だ。本当に大事なものは傷つけたくないのだ。だから、キスは額にしかしない。

2.何度観ても面白い
「トイ・ストーリー」や「ファインディングニモ」、「ズートピア」などで、有名なピクサーの重鎮・ジョン・ラセター監督(Wiki)が、この映画の冒頭のカーチェイスシーンを「新入社員に必ず見せる」という逸話を聞いたことがある。わずかな時間で、最高にスリリングなシーンを作りつつ、観客にこの映画鑑賞に必要な予備知識を全て説明する……。そりゃそうだ。30回観ても面白いと思う。結末は知っている。でも、面白いんだから仕方ない。このシーンに文句のある人は、後でこっそり連絡ください。却って友達になれそうな気がします。

3.ヒロインがカワイイ。
顔はね、完璧にナウシカなんです。でも、非の打ち所がないお姫様。白雪姫より、アナより、紫の上より、完璧なお姫様。可憐で純情で一途で勇気があり、美人で優しい10代の女の子。そりゃカリオストロ伯爵でなくても「ロリコン伯爵」になりますよ。未来少年コナンのラナも可愛い。ラピュタのシータも素晴らしい。ナウシカは神々しい。でも、一番かわいいのは(ハドソン婦人を除けば)間違いなく、クラリス姫だ。「泥棒はまだできないけどきっと覚えます」……そんなことを言われては、まともな男は、絶対に手を出せないよな。分かるだろ?

「魔女の宅急便」公開時のインタビューで、女性インタビュアーが「あなたの作品のヒロインは完璧すぎてオシッコもウンチもしないようで、人間味がない」みたいなことを言っていた記憶が有る。それについて宮崎氏は「だから、魔女の宅急便ではトイレのシーンを入れました」と、答えていた。そのインタビュアーの名前は知らないが、よくも言ってくれたな? クラリス姫のどこがいけないんだ。じゃあ、性欲に塗れていることを隠さない美少年・男性アイドル・俳優をあなたは見たいのか? 男根を勃起させたヒーローアニメを見たいのか? 答えは言わずもがなと思う。異性に関する夢。さっき観た「バックトゥザフューチャー2」でもドクが「最後の謎は女性」と言っていた。幻の何が悪いのか? とにかく、クラリスは完璧なヒロインの一人だ。

これは宮崎駿先生にとっては不本意な結果かもしれないが「ナウシカ」「トトロ」並の再放送を記録しているのは、モンキー・パンチ「原作」の「カリオストロの城」だ。そりゃ、仕方ないよ。若き日の宮崎駿先生が「自分が一番面白いと思うネタ」で勝負した映画だもの。当時はヒットしなかったが、その決断は間違いではなかった。無駄なシーンが全くない。ゲイジュツを意識することもない。ただただ「面白い映画」を目指して天才が作った映画だから。

素晴らしい映画ですよ「ロリコン伯爵」宮崎駿先生、「勲功爵」きうらより。

(きうら)

(楽天)


-★★★★★
-, , ,

執筆者:

関連記事

バガボンド(1)~(10)くらい (井上雄彦/公団社)~あらすじとそれに関する軽いネタバレ、感想

初期の作風はまさに衝動的殺人事件そのもの 間に挟まる味のあるシーンで深みを与える 戦闘の続く序盤はまさに大傑作バトル漫画 おススメ:★★★★★ 何の因果か20年前を振り返る羽目に陥っており、その関係で …

息吹(テッド・チャン、大森望〔訳〕/早川書房)~読書メモ(54)

久々に出た2冊目の短編集 テクノロジーを通して人間を問い直す オプティミズム志向のSF オモシロ度:★★★★★ テッド・チャンの二作目がようやく出版された。『あなたの人生の物語』以来で、17年ぶりだと …

『鬼と日本人の歴史』(小山聡子、ちくまプリマー新書)〜「読書メモ(83)」

「読書メモ083」 古代から続く日本の鬼。 変容していく鬼観念。 オススメ度:★★★★☆ 【鬼のような近況】 花粉症の症状も軽くなってきて過ごしやすい素敵な季節を楽しみたい昨今、寒暖差が激しくて偏頭痛 …

人の砂漠(沢木耕太郎/新潮文庫)

1977年に出版された「敗れた者」たちのノンフィクション 書かれた時代は古い、しかし、驚くほど現代の問題に直結している 読み物として単純に面白い。久しぶりにそう思った おススメ度:★★★★★ 私は沢木 …

夜と霧 新版(ヴィクトール・E・フランクル (著)・ 池田香代子 (翻訳)/みすず書房) ~感想と紹介

ナチスの強制収容所に収容された心理学者の冷静な回想 読むと非常に重い現実が現れる。娯楽要素はゼロ 誰もが絶対に読むべき本だと私は思う おススメ度:★★★★★ 皆さんは、人間の「性善説」と「性悪説」とい …

アーカイブ