- 「コラム107」
- ゾンビの夏。
- タイトルと紹介本に、特に関連性はありません。
- オススメ度:特になし
【近況〜今月購入した本】
・大西巨人『春秋の花』(講談社文芸文庫)
久しぶりに文庫化(再文庫化)された『春秋の花』です。この本自体は単行本として平成8年に出版されたようで、私はそれを図書館で借りて読みました。その文庫化は平成11年(1999年)でした。私はその2年後(2001年)くらいに書店で注文したところ、品切れでした。その後おそらく絶版となり、結局手に入りませんでした。20年以上経ってようやく新しい文庫として会えたのです。めでたいなー。やはり、紙の本として手にとって、紙の匂いをかぎながら読むのが好きですねー。
大西巨人関連の文庫というと、『日本掌編小説秀作選』も再文庫化を期待してます。あまり期待せずにそれでも楽しみに待ってます。
【ゾンビになっても観たいアニメ】
さて、大西巨人の代表作というと、『神聖喜劇』でしょう。これは、主に軍隊内でのやり取りを描いた小説です。軍隊という日常から離れた世界では、自己というものをある程度消し去らねばなりません。上官の命令には(原則的に)服従。そんな軍隊でのことを喜劇的に書いたのが『神聖喜劇』です。この作品は、漫画版もありますので、漫画でよいのでどうか読んでみて下さい。アニメ化も期待せずに待ってますー。
ただの一兵卒として軍務に服するということは、ある程度己の意思を消さなければなりません。そのさまは、生ける屍に近いかも。
そんな生ける屍(ゾンビ)が活躍するアニメが、七月から始まりました。タイトルは、『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと』です。ゾンビと「したい(死体)」が掛かっているのかどうか?
このアニメの主人公らしき青年は、ブラック企業で滅私奉公的な働きを強要されて、毎週の激務パワハラ激務で、生ける屍のようになってました。そんな彼が、一夜にしてゾンビ世界となった日本(世界)に直面して、新たに生まれ直すのです。ゾンビだらけの世界になったことで、これまでのしがらみから解放されたのです。ゾンビのように生きていた主人公がゾンビの蔓延によって救われるという逆説。
さらに逆にいうと、もともとゾンビだった人間は、このゾン100の世界になってもさらなるゾンビなだけ?
ところで、個人が己の意思をころして全体のために奉仕するという意味での生ける屍ならば、アニメ作品には色々とあります。オススメするなら、アニメ『フルメタル・パニック(ふもっふ)』のエピソードである、「やりすぎのウォークライ」の回でしょう。このエピソードは、弱小ラグビー部のコーチを依頼された主人公が、軍隊式の訓練でチームメンバーを鍛え上げるという、スクール・ウォーズ的な何とも青春真っ盛りの燃える話なのです。詳しくは、『フルメタル・パニック(ふもっふ)』のアニメを観て下さい。汗と涙と笑いと少しの恐怖がそこにはある。
【次回予告】
今年も夏休みの課題の時が来ました。夏の百冊の時期です。来週になにか書きたいです。
(成城比丘太郎)