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★☆☆☆☆

映画版無限の住人(三池崇史監督/木村拓哉主演)

投稿日:2017年4月29日 更新日:

  • 不死身の男と少女の剣戟時代劇
  • 今すぐ忘れたいので、本当は感想を言いたくありません。
  • でも、約束なので、ちゃんと書きます。
  • おススメ度:★✩✩✩✩

この映画を見に行く前の気持ちを物語風に描写します。

(洞窟の中で出口へ逃げる途中、多数の虫型エイリアンの追っ手の気配)
「ここは俺が守る。だからお前は先に行け!」
「でも、それじゃヒロシは死んじゃうよ」
「黙って行け!」
「嫌よ! 私も戦う!」
「……ヨシコ、お前の腹の中にはあいつの子供がいるんだろ?」
「……ヒロシどうしてそれを⁉︎」
「ハハハ、俺は分かってたんだ。本当にお前が好きなのは俺なんかじゃなくて、タケシだって。俺が死ぬ程憎いあいつを、お前はやっぱり愛してしまったんだろ」
「でも、でも」
「でもはいらねぇ。俺はとんだ勘違い野郎の道化者だったってだけさ。ただ道化にも意地はあってね。惚れた女は命をかけて守ってやるさ」
「やっぱり嫌よ! そんなの!」
「聞かねえ女だな。俺が惚れただけのことはある。じゃあこいつはどうだ。お前はその赤ん坊までこの愚かな戦いに巻き込むつもりか?」
「それは……ううう」
(バッタに似たエイリアンの最初の一匹が現れて、ヒロシはそれを撃ち殺す)
「時間がねぇ。早く決断しろ!」
「……分かった。ユージたちを呼んでくるから、絶対死なないでね!」
「約束する! 行け!」
「必ず戻るから!」
(数10秒後、多数の虫型エイリアンが登場。ヒロシは銃を構えてツバキを吐く)
「よう、皆さんお揃いで。寄ってたかって俺一匹にご苦労さん。ああ? 飛んで火に入る夏の虫って奴か俺は」
(ヒロシ、ニヤリとして)
「てか虫はお前らの方だろ? ただ甘く見るんじゃねえよ。この世で一番大事なものを守る男とそれにフラれた男の意地ってヤツをな!」
(ヒロシ、銃を乱射しつつ絶叫)
え? 早く映画の感想を書けって?

標準語では「とんでもなく下らない映画」関西風だと「舐めとんのかワレ。おちょくりよったらいてこますぞ。ああん!」英語では「Jesus! mother f*cker!」私の郷里の言葉では「あれっこわい、何やのこのどんならん映画!」。いやはや。

いやはや!

だいたい予想はしていたが、俳優さん達はプロとしての仕事をしようと頑張っている。特にキムタクは頑張っていた。彼はよく「どこにでてもキムタク」と言われるが、それは褒め言葉でもあって、ハリソンフォードもそうだった。演技よりオーラで勝負するタイプ。もちろん演技にケチをつけてるわけではなく、オーラのステータスの方が他の演技や声の質などと比べ高いということだ。

キャラは意外に似ていたし、特に悪役の戸良などはイメージ通り。黒井鯖人なども良く再現した。ストーリーも映画用にアレンジしないといけないのは当然だ。全部丁寧に映像化したら続編が10本は必要だろう。むしろよくまとめたといいたいくらいだ。

で、あの、そろそろ、この仮初めの感想を捨てていいですかね?実はここまでの文章は映画を観る前に書いていたんですよ。あまり外れてない自信があるなぁ。以下が見てからの感想です。
クタバレ三池監督! ちゃんと原作読んでないだろ? どこが面白いのか理解してないだろ? 原作の美学が分かってないだろ? もし分かってやってるなら大した詐欺師だ。でも人を騙すのは良くないぞ。分かってやってないのなら、今後一切、漫画原作の映画を撮るな! 六鬼団が出てこないのはまだしも、よくも乙橘槇絵を原作と百八十度違うキャラに変え、偽一と百琳と阿葉山宗介を無駄遣いし、吐鉤群を腰抜けに改編しやがったな! そもそも無限の住人が閑馬永空以外に殺されかけてどうする! それは無限の住人の根幹を改悪してるだろ!

本当に愚鈍な人だ!

どこが悪いのか5点だけかく。
1.キャラの見た目だけ似せて中身めちゃくちゃ。戦い方、似せる気もなし。
2.最初の20分はまだマシ。その後、殺陣シーンが全部単調。
3.原作者の苦労、全て無視。特にユーモアが殆どゼロ。
4.途中で話をまとめるのを投げて書くのをやめたひどい脚本。
5.操作できない作りかけの「無限の住人無双」の長すぎるデモシーンにしか見えない。

映画には多額の資金が必要だ。いわば創造的ギャンブル。保険を掛けたい気持ちは経営者なら分からんでもない。スタジオが潰れたら本当に撮りたい映画も撮れないもんな。だからと言って経済の奴隷になってどうする? やりたくない仕事にもクリエーターとしての一片の意地を仕込むのがプロだろ。それが感じられない映画なんてただの動画だ。

原作を知っている人以外の感想も知りたかったので、「キムタク」「時代劇」で入ったと思われるご年配の人数人に感想を聞いたみた。
「どうでした?」
「いや、まあ、ハハハ」(苦笑い)
会場は4分入りくらい。良く入ったと思う。最後に一言。
ちくしょうめぇ!

(昆虫の死骸に埋まったヒロシの穏やかな表情を見て泣き崩れるヨシコ)
「嘘つき! ヒロシの嘘つき! 生きてるって生きてるって……」
(ヨシコ、更に号泣)
「見ろよ。こいつの顔を。奴は死ぬ瞬間まで守り続けたのさ」
「確かに私たちは守ってもらったよヒロシ」
「違うな。奴が守ったのは別のものさ」
(ユージは寂しげに笑う)
「……お前は大した男だよ」
「?」
(ヨシコ不思議そうに泣き顔でユージを見上げる。ヨシコにズーム)
てか何で映画の感想でこんな余分な文章書いてるんですかね、私。

(きうら)

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