- 生粋のギャグ漫画
- アニメも原作を丁寧に映像化
- ギャグにかける心意気がいい
- おススメ度:★★★★☆
アイキャッチからも分かるように、非常にかわいい絵柄。その絵から想像されるような萌え要素は無いとは言わないが、ほぼ全編、熱いギャグが展開される。これは生粋のギャグ漫画。端々にギャグ漫画の先達へのリスペクトも感じる。内容についてはいまさら詳しく説明してもどうかと思うので詳しくはWikipediaでも参照されたし(読まれた方が早いかも)。とはいえ、概要くらいは書いておこう。
主な登場人物は、時定高校の一年のゆっこ、みお、麻衣の女子高生3人と、はかせ(8歳の女の子)となの(はかせが作ったロボット)、阪本(猫)。なのは高校に通う(原作とアニメではタイミングが違う)。ゆっこが主にボケ担当(突っ込みもするが主だって話を進行させることが多い)、みおは突っ込み(時にボケ)、麻衣はジョーカー的。はかせとなの、阪本のやり取りはほのぼのしている。その他、クラスメイトの面々、先生、それぞれの家族、ペットなどで話は展開する。全10巻、アニメは26話(円盤には0話も収録)。
この「日常」のダイナミックなギャグと安定した画力、そして品の良さに魅かれた。タイトルの「日常」は、非日常的なものが実は日常であると言う少しねじれた意味で付けられていると思う。例えばかわいいロボットがいたり、ヤギに乗って通学するイケメンの先輩がいたり。これらを日常と捉えるギャップが面白い。そもそもギャグマンガとはギャップを楽しむ側面が強い。読者の予想をどこまで裏切れるか、なかなか大変なジャンルだ。
メインストリームのギャグは、畳み掛けるようなボケとツッコミが特徴。突然ボルテージが上がって異常なテンションになるのが熱い。シュールなネタもあるが、分かりやすく、且つ、読みやすい。それでも意味がわからない場合もある。ただ、赤塚不二夫やいがらしみきおの様な不気味と思えるほどネタを振り切ることもなく、日常が戻って来るので安心できる。ほとんど下ネタ要素が無いのも素晴らしい。
過去のギャグ漫画……私が理解した範囲では、例えば「つるピカハゲ丸/のむらしんぼ」や藤子不二雄、あるいは「丸出だめ夫(森田拳次)」などの擬音が使われていたりして(一部自信がない/ソースを拾えなかった)、1980年代を小学生として過ごした方にはディティールが楽しめるのではないかと思う。「べーしっ君(荒井清和)」のネタ(だと思う)があるのも笑った。私が気づいていない元ネタも多いと思うので、作者はかなり広範なギャグ漫画に通じていると思う。
腕が千切れたり、首が飛んだり、汚物がブチまけられるホラーに飽きたら、一服の清涼剤として、ぜひご一読を。漫画を読んで久し振りに明るく笑った。
アニメも原作を相当愛していないと作れない様なハイレベルな翻案がされている。構成も含め、原作の分かりにくい部分が整理されていて、本当によくできている。アニメ化されていないエピソードもあるので原作も捨てがたいが、アニメ独自のネタもあり、なんだかスタッフ・キャストもすごく「楽しんで」作ったんじゃないかと思う。最後の次回予告のベテラン声優の方もウキウキして仕事をしているように見える(当時も話題になったはずだが、信じられないくらい豪華)。本当によく動くので、アニメらしいアニメだと思う。
ホラーサイトで純粋なギャグを紹介するのも、どうかなと思うが、読んで/観て損はしないものは紹介したいという方針なのでご容赦を。アニメでも漫画でも、ぜひ一度、ご覧頂きたい。ある種のユートピア的な漫画でもあるので、疲れた方には特におススメ。
以上、ギャグ漫画を極めて普通のテンションで紹介するという謎の回でした。
(きうら)