3行で探せる本当に怖い本

ホラーを中心に様々な作品を紹介します

★★★☆☆

いぬやしき(1)+(2)(奥浩哉/イブニングコミックス)

投稿日:2020年9月7日 更新日:

  • GANTZを換骨奪胎したような作品
  • ちょっと寄生獣も入っている?
  • 精緻なメカデザインは好み
  • おすすめ度:★★★☆☆

宇宙人の「事故」で消滅した二人の人間が、アイデンティティはそのままに機械化されてスーパーマン(アイアンマン?)として再生するSFアクション。片方はうだつの上がらないサラリーマンで「善」の役割、後者は引きこもり気味の学生で「悪」の役割。機械化された彼らは、人は簡単に殺せるし、空も飛べる。ヒーリング能力もあるし、ATMを操作したりする能力も。要するに神になった二人の顛末が描かれる……はずである。

実は1巻及び2巻のみを読んだのだが、二人が超能力(機械化された体)を得て、片方が悪のために(関係のない家を襲って皆殺しにしたりする)描写と、死にかけの猫を救ったり、いじめられていた男性を救ったりする善のために力を使う描写を見せられただけで、これから先どうなっていくのは正直分からない。

導入部分、「異星人による死からの再生」そして「超能力を手に入れる」という導入はGANTSとまったく一緒の展開で、その主人公が変わっただけのような感じ。GANTSに出てきた異星人狩りというテーマはないが、その代わりに一般人を攻撃/救助するというったプロットとなっている。

ま、ポイントは癌で余命三か月を宣告された58歳に見えない老けた「犬屋敷」の感情の動きと行動にあると思う。彼はまさに正義のヒーローとして覚醒しつつある。今はステレオタイプな老人にしか見えないが。

ま、絵がうまいのはいいとして、雰囲気から展開までGANTS時代から特段進化が見られないのはどうしたものか。ある意味、開き直りのような展開で、新鮮さはあまりない。3巻からビッグな展開が待っているのかもしれないが、今のところ、別に読んでも読まなくても別にいいかな、という言う感じ。

頭を打ちぬいたり、子供まで殺したり、バイオレンス描写は結構多いので、一応閲覧注意。GANTSほど、殺しまくったりしないが、どうも作者にはこういう破壊願望があるような気がする。

これだけでは、なんとも言えないが、もし3巻を読んだら印象が変わるかもしれない。グダグダかもしれない。

GANTSファンには勧めやすいような、勧めにくいような不思議な作品である。

(きうら)


-★★★☆☆
-, , , ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

月影の迷路(リズ・ベリー[著]・田中美保子[訳]/国書刊行会) ~紹介と感想、軽いネタバレ

イギリスの「丘陵地帯」を舞台にしたファンタジー。 (歴史ある)土地のパワーに翻弄される人々。 読みやすい文章と、単純な構図。 おススメ度:★★★☆☆ (簡単な導入説明)大学入試試験を終えた「クレア」が …

肉食屋敷(小林泰三/角川書店)

生粋のホラー短編集 怪獣・ゾンビ・恋愛・サスペンスなど多彩な要素 要グロ表現耐性 おススメ度:★★★☆☆ 本作は「玩具修理者」などで著名な小林泰三氏による4篇を収録した短編集。簡単に分類すると(1)怪 …

幻視(米山公啓/角川ホラー文庫)

比較的スリリングな医療系ホラー テンポが速くて読みやすい 落ちはちょっと おススメ度:★★★☆☆ (あらすじ)ライブ会場でいきなり頭から血が噴き出してロックシンガーが死亡した。同時期、同様の症状で死亡 …

劇画ヒットラー (水木しげる/ちくま文庫)

人間ヒットラーの生涯 彼の意志にフォーカスされている なぜ水木しげるはこのような描き方を? おススメ度:★★★☆☆ ご存知、水木しげる大先生の戦記物の一つだが、テーマは異色のヒットラー。彼の生涯が異常 …

深海のYrr〈上〉(フランク・シェッツィング(著)、北川和代(訳)/ハヤカワ文庫)~概略と軽いネタバレ感想

世界の海で起こる異常事態を描くSF海洋ディザスター系 謎のゴカイ、人を襲うクジラなど「海」が人を襲う 3分冊の第1冊目なので、全体のプロローグに過ぎない内容 おススメ度:★★★☆☆ 結構前に上巻と中巻 …

アーカイブ