3行で探せる本当に怖い本

ホラーを中心に様々な作品を紹介します

★★★☆☆

向日葵の咲かない夏(道尾秀介/新潮文庫) あらすじとおススメ度、ネタバレなし

投稿日:2017年1月27日 更新日:

  • 同級生の死の謎をめぐる小学生が主役のミステリ
  • 一人称視点で平易な文章
  • 「予備知識なし」で読む系
  • おススメ度:★★★☆☆

あらすじは、それほど複雑ではない。夏休み前に友達の家に届け物をしたら、その友達が死んでいた。しかし、死体は消え、その友達があるものに姿を変えて主人公と「自らの死」の謎を探るというもの。このお話の中心はこの友達が「何になった」で、これがミステリとして考えると非常に混乱する。

古い本なので、ネット上にはあらすじやネタバレを含む情報が氾濫しているが、もし前述のあらすじに少しでも興味があれば、何も事前情報を得ずに読み始めた方がいいだろう。ホラー要素は低めだが、作者が何を仕掛けて来ているのかを推理しながら読むのは楽しい。

文章自体は平易な一人称で、セリフは少々軽く感じるが、読みにくさはない。主人公が小学生なので、その視点での描写としては適切だろう。それほど血なまぐさくはないが、時々精神的に「来る」描写を挟んでくるので、苦手な方は注意が必要だ。

読後感は少々後味の悪さがある。ただ、個人的にはよくできた仕掛けだと思う。いわゆる「アレ」だが、もう一度読み返してみたくなるような描写が多い。
後に残るような重さやテーマ性はないが、ホラー要素を楽しみつつ、愉快に騙されてみてはどうだろうか。

(きうら)


向日葵の咲かない夏 [ 道尾秀介 ]


-★★★☆☆
-, , ,

執筆者:

関連記事

血統史たらればなし(栗山求/KADOKAWA/エンターブレイン)

1冊で大まかなサラブレッドの血統の歴史の流れが分かる。 サラブレッドの歴史は、人とのキズナの歴史。 競馬に興味のない人には星なし。競馬が好きなら星5つ。 おススメ度:★★★✩✩ 人間生きていれば、何度 …

ぼぎわんが、来る(澤村伊智/角川ホラー文庫)

正統派の化け物系ホラー 視点の転換は新鮮 ただし、後半は半ばマンガ…… おススメ度:★★★☆☆ 「映画化決定! 全選考委員が絶賛した第22回日本ホラー小説大賞受賞作!」という華々しいキャッチコピーもあ …

<ひとり死>時代のお葬式とお墓(小谷みどり/岩波新書)

葬式のありようが変わる。 お墓(埋葬)の多様化。 <ひとり死>の弔いをどうするのか。 おススメ度:★★★☆☆ <死>のことを、まず、自分が死んだらどうなるのかという実存的な問題として考えたことのある人 …

アニメ研究入門【応用編】(小山昌宏〔他〕/現代書館)

「アニメを究める11のコツ」 いろんな視点からアニメをみる 今期(2019春)のアニメ感想も おススメ度:★★★☆☆ 【本書のタイトルについて】 まず本書についてです。この本には前編があるようですが、 …

瞬殺怪談 業(複数著者/竹書房)~短すぎて紹介がネタバレに

現代怪談のショートショート 短いものは一行のものも まあ、いつものやつです おススメ度:★★★☆☆ 夏といえば怪談、などと月並みはことは言わないが、毎度毎度懲りずに怪談集を探してきたので、ご紹介したい …

アーカイブ