★★★★☆

失踪日記(吾妻ひでお/ イースト・プレス)短評

投稿日:2020年6月29日 更新日:

  • 人気漫画家の突然の失踪の顛末
  • その筋では有名なアル中体験記
  • アルコールは是か非か
  • おすすめ度:★★★★☆

今回も個人的な時間の都合で短文になるがお許し願いたい。ホラーも読んではいるのだが、感想として出すにはもう少し読まないといけない。WEBサイトも人間が作っている以上、発展期もあれば停滞期もある。今は少し中休みと思ってもらえれば幸いである。

さて、本書は元祖ロリータ風画風で一世を風靡した「吾妻ひでお」が人気絶頂の時期に突然失踪した顛末が「なるべく明るい画風で」描かれている実録漫画である。2005年出版で、非常に有名なので知っている方も多いと思うが、一応、内容を拾って来ると、

突然の失踪から自殺未遂・路上生活・肉体労働、アルコール中毒・強制入院まで。
著者自身が体験した波乱万丈の日々を、著者自身が綴った、
今だから笑える赤裸々なノンフィクション!

と、あるのだが、本人は昨年(2019)に亡くなってしまったし、実は笑えない要素満載である。

基本的にはアルコール依存症について、自身の体験を赤裸々に語っている点で、たびたび本サイトに登場する作家「中島らも」と、同系列だ。

ただ、独特の丸っこい可愛い絵柄で書かれていて、基本はギャク調なので、読んでいて面白いのである。「悲惨」でありながら「楽しい」というのは矛盾しているが、アルコール飲料そのものが「楽しさ」と「危険さ」を含んでいるので、これは必然かもしれない。

私も結構な依存症だが、とにかく、アルコールは本当に「たしなむ」程度にしておきたいと思わされる内容だ。仕事から逃げるために、頭をアルコールで化学的に変異させてしまうという行為が結構、社会に定着しているこの社会自身が、実はかなり怖い気もする。

テレビを見ていると本当にアルコール関連のCMが多い。儲かるのだろうし、愛飲者も多いのだろう。

しかし、人類がアルコールで失ったものも非常に多いのではないだろうか。少なくとも、腎臓や脳にダメージがあることは事実である。

そう、何度も書いているが単純にアルコールとは「毒」そのものなのである。

その毒によって、人がどう変わるか、変わっても生きていかないといけないのはどういうことか、それが本書のテーマであるように思う。

いまさら、アルコール社会を批判はしないが、飲まないで生きられるなら、そのほうが多分ずっといい。間違いなく、あんなに批判されている「ドラッグ」の一種なのだから。

今日もコンビニに咲き乱れるアルコール飲料の棚を見て、ふと、うそ寒くなったりした。

(きうら)


-★★★★☆
-, , ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

魔法にかかった男(ディーノ・ブッツァーティ〔著〕、長野徹〔訳〕/東宣出版)

ブッツァーティ短篇集1 寓話としても読めるし、現実的な話としても読める しずかに忍び寄る不安や恐怖が味わえる、かも おススメ度:★★★★☆ 昨年末、新たに掘られた鉱山に、いくつかの展示がなされたという …

今夜、すベてのバーで(中島らも/講談社文庫)~感想とあらすじ、読書メモより

中島らものアルコール依存症の自伝的小説 実際にアルコールが原因で亡くなっている 最強のドラックとしてのアルコール! おススメ度:★★★★☆ 旧サイトに「読書メモ」として投稿した内容を加筆・修正して転載 …

夏休みにおすすめする短編〔文学〕(成城比丘太郎のコラム-04)

夏休みによんでみてほしい短編 もちろん夏休みでなくてもよい 小学生から大人まで楽しめる怖くて暗くてイヤな短編 おススメ度:★★★★☆ ラジオの「夏休み子ども科学相談」というオモシロイ番組がある。科学に …

クージョ(スティーヴン・キング、永井淳〔訳〕/新潮文庫)

狂犬病にかかった犬がもたらす恐怖 恐怖を中心にして描かれる家族のありよう 日常に潜む崩壊は、ふとしたときに身を寄せてくる おススメ度:★★★★☆ 一か月前の投稿で、「スティーヴン・キングはあまり読む気 …

「新」怪奇現象41の真相(ASIOS/彩図社)

実際に起こった怪奇現象を科学的に分析 短いコラム風で非常に読みやすい 笑えるものから、ちょっと考えさせらるものまで おススメ度:★★★★☆ 実際に起こった怪奇現象や伝説の正体を、真面目に追及するという …

アーカイブ