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★★★☆☆

人は何に恐怖するのか〜「成城のコラム(113)」

投稿日:

  • 「コラム113」
  • 「恐怖の正体」という本を読みました。
  • 恐怖についてのエッセイ。
  • オススメ度:★★★☆☆

【近況〜秋が来た?】

本格的な秋が来たようなかんじの寒さです。近所では衣替えしようかと準備中の、木々の葉もチラホラ見かけます。秋の味覚も見かけます。私は、秋刀魚を食べ、栗のケーキを食べ、馬刺しは食べてません。生きて食材になってくれたものに感謝。気候的に、天高く馬肥ゆる秋まであと少しでしょうか。そして、日本の競馬産業も凱旋門賞の結果を受けて肥えるとしたら景気のいい話だ。

先週には凱旋門賞がありました。スルーセブンシーズの好走のおかげで(?)、今年の宝塚記念の価値が上がったでしょう。それを受けて、イクイノックス(と、キタサンブラック)の世界的な評価が上がるかどうか。まあ、日本で繋養されている種牡馬の価値は上がったでしょう(もともと上がってきていた)。

スルーセブンシーズの上昇ぶりは、ナカヤマフェスタのそれに似ていた気がします。これから、宝塚記念をステップに力をつけた馬(ステイゴールド系を父にもつお馬さん)を挑戦させれば、似たような結果が得られるかもしれません。ところで、先日、ナカヤマフェスタの種牡馬引退が発表されました。おつかれさまー。

とにかく、スルーセブンシーズの凱旋門賞4着は大きな4着になるかもです。まず、馬券圏内から外れたことで、払戻金額が大きくなりました。まあ、勝てなかったら2着も5着も同じだし。そんな5着には日本産馬が入ったのも大きいでしょう。それから、母父クロフネのスルーセブンシーズがヨーロッパでそれなりに走ったのは大きいかどうかわかりません。

ただし、今年の凱旋門賞の上位馬はすべて、一桁の枠(内枠)でした。それも大きいかも。

一方、日本では、クロフネ産駒のママコチャがG1を勝ち、同じクロフネ産駒のソダシが引退を発表しました。ソダシの現役生活はこれでおしまいですが、姉妹でG1馬はすごし。何気に、同族のメイケイエールも好走しましたし、メデタシ。

クロフネというと、馬名の由来は幕末の日本に来た「黒船」からとられたと思います。そんな黒船は、当時の日本列島民にどんな恐怖を与えたのかなぁ。未知に対する恐怖があったのかなぁ。

てなわけで、今回は恐怖についての本です。

【恐怖の正体〜読んだ本から】

・春日武彦『恐怖の正体』(中公新書)

ホラー小説から得られる恐怖とは何なのか知りたくて読みました。精神科医の春日武彦が、自らの恐怖症を述べたり、ホラー作品についての恐怖を述べたり、恐怖と時間感覚や死について述べたりしております。要は、著者が考える恐怖についてのエッセイみたいなかんじです。おもろかったです。

まず、著者は恐怖の定義として、三つの項目をあげます。それらについては本書を読んでください。面白いのは、そのなかに「不条理感」が含まれるところです。これはよく実感できます。

著者は、自らの甲殻類恐怖について告白(?)してます。海老と蟹に恐怖感をおぼえるようです。その感覚は私にはわからない。でも、私は百足(ムカデ)を見ただけでゾッとします。その感情に近いのかなぁ。大人になってからはムカデを回避せずに、道端で見掛けてもなるべく見つめるようにしてます。

しかし、時々くじけそうになるときもあります。数年前、歩行者用のトンネルに入りかけた時に、その入口の上部からムカデが私の目の前に降ってきたことがありまして、あと数メートル進んでいたらムカデが私の頭に、と考えたらゾッとしたのです。それ以来、初夏が近づいてきたら日傘を差すようになったのです。

本書の最後は、死と恐怖についての章です。それなりに興味深いです。何かについての恐怖は、死というものへの感情に由来する部分があるのではと考えます。なので、不老不死になったら、ほとんどの恐怖感情は消えるのではとも考えられます。しかし、「死」という観念が残る限りは、恐怖自体が消えることもないのかなあー、とも考えられます。まあ、世間一般的に言われるふつうの(?)精神状態である限り、死の観念からは逃れられそうもないので、うまく折り合いをつけていくしかないかも。競走馬も折り合いが大事だし、けだし。

結論です。恐怖感情についてはよくわからないことが改めてわかりました。そんな曖昧なところがよいのでしょう。これからも答えの見つからないままに、ずっとホラー作品を大いに楽しんでいきたいです。

(成城比丘太郎)


-★★★☆☆
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