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お盆に読んだ怪奇もの・お盆にみた怪談番組(2019年8月)

投稿日:2019年8月26日 更新日:

  • このお盆に読んだジャパニーズホラー
  • このお盆に観た怪談番組
  • 怪談番組はマアマア
  • おススメ度:それぞれ

【お盆に読んだ怪奇もの】

今年のお盆は台風が直撃したので出かけることもなく、家でホラーものを読もうと思い、図書館から借りてきたりしたホラーをいくつか読んだ。お盆ということで、ここはやはりジャパニーズホラーでしょ、ということで本邦のホラーばかりを読んだ。しかし、そのほとんどはあまり面白くなかった。このブログは、一応名目上は、お薦めする本を紹介するという外見をかりそめにも装っているので、それに照らしてお薦めするものだけを以下に書きます。

・『稲生物怪録』(京極夏彦〔訳〕・東雅夫〔編〕、角川ソフィア文庫)
〔怪談業界的にはおそらく名前だけは有名な「稲生物怪録」を三編収めたもの。私はこの本ではじめて絵巻全体を見ました。「稲生物怪録」とは、三次藩(広島)の武士である稲生平太郎が目撃した・体験した怪異を記したもの。この本には、「稲生物怪録絵巻」と、平太郎作とされる『三次実録物語』と、柏正甫による『稲生物怪録』も絵巻とともに収められている。
平太郎が書いたものは江戸時代版実録怪談というもので、柏正甫のものはそれに脚色を加えた物語みたいになっている。話の概要を詳しく知ることができたので、なかなか面白かった。そこで起こる怪異とは、化物の目撃譚や、今でいうポルターガイスト現象など、おなじみのもの。一番面白かったのは、絵巻でしょう。平太郎がいくつもの怪異に襲われている、その現象がヴァラエティに富んでいて、さらにその現象を平太郎本人はとくに気にすることなく、最終的には彼が寝ることで怪異現象はしずまる。中でも笑ったのは、平太郎の家へたくさんの虚無僧が勝手に訪れて、寝ている平太郎を取り囲み尺八を吹いているところ。その構図自体がシュールで、平太郎本人の困ったような表情が笑えた。
簡単に「稲生物怪録」のことが分かるので、実録怪談好きな人(?)にはお薦めです。〕

・『平成怪奇小説傑作集』(東雅夫〔編〕、創元推理文庫)
〔くしくも(?)、前者と同じ編者によるアンソロジー本。これはタイトルからうかがえるように、平成に書かれた(広義の)ジャパニーズホラー短編をあつめたもの。吉本ばなな「ある体験」(1989年発表)にはじまり、宮部みゆき「布団部屋」(1998年発表)でおわる、平成前期10年間に発表された作品を15編収めている。平成時代を象徴するような作品から、平成になってからさらに勢いを増した実録怪談やジャパニーズホラーを代表するようなホラー作品がつまっている。有名な作品もありますが、近年の日本のホラーを広い範囲で見通すことができる。ホラーをあまり読まない人向けにお薦めします。〕

【お盆に観た怪談番組】

今年もまた、毎年恒例(交霊・降霊)の「怪談グランプリ2019」を観る。なんだか、毎年面白くないと思えてきたのだが、これは私自身の精神がスレてきて、怪談を受信するアンテナがボロくなってきたからだろう。というか、家でテレビを観ているだけでは怖くないのは当たり前だろう。おそらく、いわくつきの場所で真夜中に聞いたりしたら怖いとは思う。
今年は、歴代チャンピオンに新人の怪談師が挑むという構成になっていた。結果は、テレビ出演になれていないと思われる新人が不利なものに終わった。個人的には、チャンピオン側に明らかに怖くも面白くもない人がひとりいるので、出演するのを遠慮してほしい(どうでもいいんだが)。あと、グランプリになったネタは、あれは怪談というよりも生きてる人間の怖さが出たもので、あれはちょっと卑怯じゃないかと思った。それか、怪談の幅をひろくとったという意味で、あれも怪談の一種なんだろうか。たぶんそうなのだろう。

さて、同じ日にNHKで「声優×怪談」という番組があった。これは、人気声優に古典から現代ホラー作品までいろんな怪談を語らせるという内容。さすがに、語りのプロとはいえ、怪談師と比べるのは酷な出来になった。もちろん声優の方が数段も語りも滑舌もよいのだけども、怪談の語りには怪談なりの技術がいると分かった。といいたいのですが、一部の声優には、明らかにイマイチな人がいた。これは、キャスティングの問題なのかディレクションの問題なのか分からないけど、声優に怪談を語らせるなら、本物の怪談語りを伝授した方がいいような気がしないでもない。もっというと、「怖くて言えない業界の裏話」みたいなことを声優さんたちに話させたほうが怖いと思う。放送できないだろうけど。

さいごに。私が今まで一番怖いと思った怪談番組は、それは深夜ラジオで行われていたもの。その番組はふだん怪談の「か」の字もないのだけども、夏だけ一般から体験談を募集していて、それを霊感もなにもない(と思われる)人が語るというもの。ラジオは想像力をフルに発揮できるというのもあるのだけども、淡々と他人の怪奇体験を語るのを聴くというのが怖かったおぼえがある。まあ昔の話ですけども。

(成城比丘太郎)


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