★★☆☆☆

厭魅の如き憑くもの (三津田信三/講談社文庫)

投稿日:2017年1月11日 更新日:

  • 憑き物をテーマにした戦後間もない架空の村の怪異
  • 探偵役が登場する正しいミステリの構造
  • 固有名詞に違和感があるが読みやすい
  • おススメ度:★★☆☆☆

戦後の昭和の架空の村が舞台で、谺呀治(かがち)家と神櫛(かみぐし)家、2つの旧家の間に起こる「憑き物」に関する怪異譚がメイン。ただし、金田一耕助もかくやという怪奇小説家が登場しミステリ風展開が行われる。構成の特徴としては、本章の間に3人の登場人物視点の短い挿話が挟まる形になっている。

何々家がそれぞれに力を持っていて、微妙な勢力図で争うという内容は使い古された設定だが、丁寧に描かれているし、憑き物に関する描写も中々凝っていて雰囲気はあると思う。ただ、前述の探偵役と思われる怪奇小説家が登場すると、一気にラノベ風になってしまうのが残念だ。小説中に作家が登場するのは、著者の分身だと思っているのだが、どうも本当に書きたいのはこの部分ではないかと疑ってしまう。個人的にはこのキャラクターがマイナス点だ。

この作品はシリーズ化されているので、一定の読者の評価は得ているようだ。どちらかというと怖い雰囲気を持ったミステリという位置づけのように感じる。残酷描写も控えめで(若い人には)親しみやすいキャラクターも登場するし、ラノベではものたりない読者の次の一冊に最適、というような内容ではないかと思う。

(きうら)

厭魅の如き憑くもの (講談社文庫)

-★★☆☆☆
-, ,

執筆者:

関連記事

空飛ぶタイヤ(上)(池井戸潤/講談社文庫)

きわめて真っ当な企業小説 本当に予想通りの展開 随所にいい台詞もあるが・・・・・・ オススメ度:★★☆☆☆(上巻のみの評価) 発刊当初からそのインパクトのあるタイトルからすごく気になっていた一冊。この …

パワープレイ―気づかれずに相手を操る悪魔の心理術(内藤誼人/ソフトバンククリエイティブ)

主にビジネスの対人用心理戦のコツ 使えん。が、ごく一部参考になることも でも、これするとただの嫌な奴じゃあないか オススメ度:★★☆☆☆ 純粋な技術書ではなく、何らかのコツを紹介するハウツー本は基本読 …

ローズマリーの赤ちゃん(アイラ・レヴィン/ハヤカワ文庫)

(小説版の写真がないので映画版のパッケージです) 率直な内容のモダンホラーの古典 キリスト教的世界観は日本時にはなじみが薄い 妊娠中の方は特にお勧めできない おススメ度:★★☆☆☆ モダン・ホラーの元 …

X‐ファイル―未来と闘え(クリス・カーター(著)、 エリザベス・ハンド(著)、 南山宏(翻訳)/角川文庫)

伝説の超常現象捜査官の映画版ノベライズ モルダーとスカリーが出てくるだけで満足 当時としては異常によくできたドラマだった おススメ度:★★☆☆☆ これもまた古い話になるが、テレビドラマである第1シーズ …

日出る国の工場(村上春樹・著/安西水丸・画/新潮文庫)

工場見学の文章とイラスト どこを切っても村上春樹 30年前のドキュメントで時代を感じる おススメ度:★★☆☆☆ 初版発行が1987年平凡社となっている。およそ30年前である(2018年現在)。そもそも …

アーカイブ