- 「読書メモ087」
- 芥川賞作品を読みました。
- 震災後の世界。
- オススメ度:★★★☆☆
【近況】
梅干し作りをはじめました。まずは塩漬けです。うちのところは紫蘇を多目にいれます。なので、しそ漬梅みたいになりますー。
そして、遅ればせながら、本日ようやくついにやっとのことで、冬物の服と夏物の服との本格的な入れ替えをしました。この前まで寒いくらいに涼しい朝晩だったので、念のため冬服を出してたのです。とはいえ、入れ替えは10分で済ませられるのですけどー。ちなみに、ホットカーペットはまだそのままです。晴れた日に乾してしまう予定です。
【芥川賞作品を読みました】
・佐藤厚志『荒地の家族』(新潮社)
2023年上半期の芥川賞作品を図書館で借りてきました。内容は、震災から十年余を経た宮城県での話です。中年男性を中心にして、色んな人たちがアーダコーダするものです。その「アーダコーダ」の中には、日々の生業のことから家族関係のことまで何やらかんやらと、色んな人間の人生の一部が詰まっております。叙述は現在で進みながら、たまに過去の出来事(回想)が入り込みます。
その過去のこととはもちろん震災のことです。ですので、この作品では海のことが語られます。中心人物の男性が、海を見ながら何やかんや感じたり思ったり考えたりするのです。そして、暴力や、けっこうな人間の死についても語られます。
これを読んで感動するような、そんな要素は排除されているように思えます。そこをきちんと(?)読めれば、存外、おもしろく読めます。ただし、ユーモアはあまり感じられませんでした。最後の場面には印象的な出来事があるのですが、それはおそらくユーモアとして書かれたものではないのでしょう。
個人的には、ユーモア(笑い)がほとんどないのが残念でした。もしこの作品に笑えるものがあればなぁ。西村賢太の遺作をこの前読みましたけど、そこにある変な笑い(自嘲)が本作にあれば、と思う入梅の候。
それから、津村記久子の『水車小屋のネネ』という小説も読みました。1981年から2021年までの、姉妹の人生を描いてます。『荒地の家族』が海沿いを舞台にしているのとは対照的に、『水車小屋のネネ』は山を生活の場にしてます。2011年の震災発生時のことも描かれてます。タイトルにある「ネネ」とは、作品に登場する鳥(ヨウム)の名前です。このヨウムはおしゃべりをして、姉妹ら人間たちと会話しております。オウムやインコなどが好きな人にオススメします。
【余談〜ラノベ】
私は最近、ラノベを読むことが減りました。図書館はあまりラノベを所蔵してないですし、私にはラノベまで購入する資金があまりないのです。なので(?)、一般文芸作品をラノベとして読めるかどうかを試してます。たとえば、『荒地の家族』にはラノベに変換できる要素はないなぁーと思いながら読んでました。『水車小屋のネネ』については、ここに何か「青春ブタ野郎」的なファンタジー要素でも付け加えたらラノベレーベルでも出せるのではないかと思いながら読んでました。
(成城比丘太郎)