3行で探せる本当に怖い本

ホラーを中心に様々な作品を紹介します

★★★☆☆ 読書メモ

最近読んだ小説【2023年6月】〜「読書メモ(87)」

投稿日:

  • 「読書メモ087」
  • 芥川賞作品を読みました。
  • 震災後の世界。
  • オススメ度:★★★☆☆

【近況】

梅干し作りをはじめました。まずは塩漬けです。うちのところは紫蘇を多目にいれます。なので、しそ漬梅みたいになりますー。

そして、遅ればせながら、本日ようやくついにやっとのことで、冬物の服と夏物の服との本格的な入れ替えをしました。この前まで寒いくらいに涼しい朝晩だったので、念のため冬服を出してたのです。とはいえ、入れ替えは10分で済ませられるのですけどー。ちなみに、ホットカーペットはまだそのままです。晴れた日に乾してしまう予定です。

【芥川賞作品を読みました】

・佐藤厚志『荒地の家族』(新潮社)

2023年上半期の芥川賞作品を図書館で借りてきました。内容は、震災から十年余を経た宮城県での話です。中年男性を中心にして、色んな人たちがアーダコーダするものです。その「アーダコーダ」の中には、日々の生業のことから家族関係のことまで何やらかんやらと、色んな人間の人生の一部が詰まっております。叙述は現在で進みながら、たまに過去の出来事(回想)が入り込みます。

その過去のこととはもちろん震災のことです。ですので、この作品では海のことが語られます。中心人物の男性が、海を見ながら何やかんや感じたり思ったり考えたりするのです。そして、暴力や、けっこうな人間の死についても語られます。

これを読んで感動するような、そんな要素は排除されているように思えます。そこをきちんと(?)読めれば、存外、おもしろく読めます。ただし、ユーモアはあまり感じられませんでした。最後の場面には印象的な出来事があるのですが、それはおそらくユーモアとして書かれたものではないのでしょう。

個人的には、ユーモア(笑い)がほとんどないのが残念でした。もしこの作品に笑えるものがあればなぁ。西村賢太の遺作をこの前読みましたけど、そこにある変な笑い(自嘲)が本作にあれば、と思う入梅の候。

それから、津村記久子の『水車小屋のネネ』という小説も読みました。1981年から2021年までの、姉妹の人生を描いてます。『荒地の家族』が海沿いを舞台にしているのとは対照的に、『水車小屋のネネ』は山を生活の場にしてます。2011年の震災発生時のことも描かれてます。タイトルにある「ネネ」とは、作品に登場する鳥(ヨウム)の名前です。このヨウムはおしゃべりをして、姉妹ら人間たちと会話しております。オウムやインコなどが好きな人にオススメします。

【余談〜ラノベ】

私は最近、ラノベを読むことが減りました。図書館はあまりラノベを所蔵してないですし、私にはラノベまで購入する資金があまりないのです。なので(?)、一般文芸作品をラノベとして読めるかどうかを試してます。たとえば、『荒地の家族』にはラノベに変換できる要素はないなぁーと思いながら読んでました。『水車小屋のネネ』については、ここに何か「青春ブタ野郎」的なファンタジー要素でも付け加えたらラノベレーベルでも出せるのではないかと思いながら読んでました。

(成城比丘太郎)


-★★★☆☆, 読書メモ
-, ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

ホラー小説大全 ドラキュラからキングまで(風間賢二/双葉文庫) ~内容の紹介

文化論も含む硬質な欧米ホラーの概観 歴史、3つモンスター、おススメ本100冊の3つのパート ガイドブックというよりは、正統派の評論としての性格が強い おススメ度:★★★☆☆ 怖い本の紹介サイトで、さら …

『鬼と日本人の歴史』(小山聡子、ちくまプリマー新書)〜「読書メモ(83)」

「読書メモ083」 古代から続く日本の鬼。 変容していく鬼観念。 オススメ度:★★★★☆ 【鬼のような近況】 花粉症の症状も軽くなってきて過ごしやすい素敵な季節を楽しみたい昨今、寒暖差が激しくて偏頭痛 …

タイトルに書けるほど感想に自信がない短い感想

鬼滅の刃無限列車編 TVで観ました 原作は読んでません おススメ度:★★★☆☆ うーん、この映画がファンに熱烈に受けた程度なら分かる。しかし日本映画の興行成績を塗り替えてしまったという事実を知っている …

イルカと墜落( 沢木耕太郎/文春文庫)~紹介と感想

著者が実際に乗った「飛行機の墜落事故」のレポート 前半はブラジルでの少数民族に関するドキュメント 冷静な文章で読みやすい。むしろユーモアも。 おススメ度:★★★☆☆ 前回紹介した「クライマーズ・ハイ」 …

ジーキル博士とハイド氏(スティーヴンスン[著]・村上博基[訳]/光文社古典新訳文庫) ~概略と感想、ネタバレあり

超有名な架空の人物。 何も知らずに読むと、ミステリーとして読めます。 怖いというより、暗い感じの悲劇。 おススメ度:★★★☆☆ 「ジキル(ジーキル)とハイド」は、その名前だけはベストセラーの域にあるほ …

アーカイブ