3行で探せる本当に怖い本

ホラーを中心に様々な作品を紹介します

★★★☆☆

殺人鬼-覚醒篇 (綾辻行人/角川文庫)

投稿日:2016年12月27日 更新日:

  • タイトル通りの残虐スプラッター・ミステリ
  • オチは意外だが、少々わかりにくい
  • 残酷描写が苦手な方は読まない方がよいだろう
  • おススメ度:★★★☆☆

著名なミステリ作家である綾辻行人が仕掛けるスプラッター・ホラー。合宿のために山を訪れた若者たちが殺人鬼に襲われるという「13日の金曜日」的なよくあるシチュエーションの中、まんまB級ホラー的なスプラッタなストーリーが展開される。さらにミステリ作家としての細工も仕掛けてあるというのが売り。

作者は自分自身のスプラッター表現の限界に挑戦している、あるいはその表現を楽しんでいると感じで、まさしく「正統派」エログロ作品となっている。タイトル通り、殺人鬼による残虐な殺人が描かれるガチンコホラー展開なので、苦手な方は多少ミステリに興味があっても読まない方が良いだろう。

オチは確かに意外だし、伏線も貼ってあるので、よくよく読んでみるとお話の仕掛けも納得できる。残虐描写に目が行って、伏線に気づかないというのはある意味素晴らしい。ただ、よくできているが大変面白いというかというとそうでもなく、一種の「企画もの」ミステリという気もする

残虐描写がお好きな方、または綾辻行人のファン、未読で謎解きに興味がある方などにはオススメだ。ちなみに、続編も「逆襲編」として刊行されている。

(きうら)


殺人鬼(逆襲篇) [ 綾辻行人 ]

-★★★☆☆
-, ,

執筆者:

関連記事

ケンジントン公園のピーター・パン (バリー[著]・南條竹則[訳]/光文社古典新訳文庫) ~あらましと感想

有名な「ピーター・パン」の物語とは別の話。 公園での妖精や少女とのうつくしい交流。 箱庭の世界で繰り広げられる不思議な物語。 おススメ度:★★★☆☆ 最初に書いたように、本書は日本でも一般によく知られ …

東京震災記(田山花袋/河出文庫)

花袋の目で見て、肌で感じた震災の模様。 様々な人たちの体験談を聴く花袋。 ルポでありながら小説でもある。 おススメ度:★★★☆☆ 宮崎駿監督作品『風立ちぬ』の序盤で一番印象的なのは、関東大震災の描写で …

オペラ座の怪人(ガストン・ルルー、平岡敦〔訳〕/光文社古典新訳文庫)

リのオペラ座を舞台にした憎しみと愛の劇 怪人の境遇に同情できるか 恐怖譚の中にひそむ滑稽さ おススメ度:★★★☆☆ 【簡単なあらすじ】 オペラ座に怪人(ファントム)が出没するという目撃情報が流れだした …

ヴェトナム戦場の殺人 (デイヴィッド・K・ハーフォード(著)、松本 剛史(翻訳)/扶桑社ミステリー)

ヴェトナム戦争の米軍の内部犯罪物 実にまっとうなミステリ ヴェトナムへの掘り下げ度は浅い おススメ度:★★★☆☆ 霊能者や呪いに少々食傷気味な気分で、タイトルだけで選んだ一冊。ミステリは数あれど、ヴェ …

死の棘(島尾敏雄/新潮文庫)

壮大な夫婦の痴話喧嘩の詳細 妻の狂いっぷりが凄い ひたすら繰り返される嫉妬の恐怖 おススメ度:★★★☆☆ この本もいつもの本屋の女性店員さんに推薦頂いた一冊だ。本の帯には「絶望的煉獄か 究極の夫婦愛か …

アーカイブ