★★★☆☆

感染(仙川環/小学館)

投稿日:2016年12月15日 更新日:

  • 「臓器移植」がテーマの医療系サスペンス
  • とにかく軽快で展開が早い。軽い読書向き。
  • タイトルから想像されるようなグロ系描写はほぼ無い
  • おススメ度:★★★☆☆

「感染」は、臓器移植を中心とした医療知識を縦糸に、夫婦の愛憎を横糸にして描かれる医療系サスペンス。葉月という女性の一人称で描かれており、雰囲気は硬質だが極めて軽快にストーリーが展開していく。

実際には軽快に……というより、ドラマを2倍速で見ているような「溜め」のないノンストップ・サスペンスになっている。こちらに深く考える暇を与えないほど、目まぐるしく物語は展開し、全く飽きずに読み進められる。

その弊害とも言えるが、やはり物語にいまいち深みがないのは残念だ。最低限必要なリアリティやドラマはあるが、驚愕するようなパンチ力がない。終盤の展開も本来ならもっと衝撃的なはずなだが、じっくり驚いている余裕もなく物語は幕を閉じてしまう。ヒロインの葉月は少し根暗気味で、夫&夫の元妻との三角関係も、昼メロ風の設定になっていて少し軽い気がするなど、登場人物全てに余り共感できないのも難点。

ただ、少々スピードが出すぎてしまったとはいえ、この読みやすさは軽い読書にぴったりだ。とかく陰惨になりがちなサスペンスだが、これぐらい軽快だと人を選ばずお薦めできる。ちなみに、怪奇要素や過度なグロテスク描写はほぼないので、そういうのが苦手な方も安心して読めるだろう。

(きうら)


感染【電子書籍】[ 仙川環 ]


-★★★☆☆
-, ,

執筆者:

関連記事

ゴーストバスターズ2016 (ポール・フェイグ監督)  ~概要と感想、若干のネタバレ

愛のあるリブート。4人の女性がゴースト退治 下品でお馬鹿で露悪的なコメディ オリジナルを愛しすぎている オススメ度:★★★☆☆ オリジナルのゴーストバスターズが公開されたのは1984年で、ちょうど小学 …

仮面病棟(知念実希人/実業之日本社) 〜あらましと感想、軽いネタバレ

病院に立て籠もった犯人と医者のサスペンス 文章は読みやすい。キャラもわかりやすい そこそこ楽しいがもう一捻り欲しい おススメ度:★★★☆☆ (あらまし)アルバイトである病院の夜勤についた主人公の外科医 …

二階の王(名梁和泉/角川ホラー文庫)~紹介と感想、軽いネタばれ

二階に引きこもる兄の正体は? 元「ひきこもり」達だけに見える異形と化した人々 彼らは「悪因研」と称し、見えない悪と対峙するが……。 おススメ度:★★★☆☆ 旧サイトの「新刊を勝手に予想」というコーナー …

妖し語り 備前風呂屋怪談2(岩下志麻子/角川ホラー文庫)

天女のような湯女・お藤が客から聞く時代怪談 湯女は今で言う風俗嬢(ソープランド?) 嘘と真を行き来するので幻想的 おススメ度:★★★☆☆ シリーズものの本を読む場合、滅多に巻数を飛ばして読まないのだが …

ニーチェと世界と、いろんな謎 ~ニーチェ入門(清水真木/ちくま学芸文庫)/なぜ世界は存在しないのか(マルクス・ガブリエル、清水一浩〔訳〕/講談社選書メチエ)

他人の〔ニーチェ〕解釈を、自らの論文で批判しかしてこなかったという著者による初の入門書。 ニーチェという人物への入口として分かりやすい。 二人の〔かなり長い〕会話が繰り広げる、ある存在の謎。 おススメ …

アーカイブ