★★☆☆☆

ほねがらみ(芦花公園/幻冬舎単行本)

投稿日:2021年7月19日 更新日:

  • 読んだ人は呪われる系
  • なので一応閲覧注意
  • まとまりがない話
  • おススメ度:★★☆☆☆

ホラー小説をAmazonで探していてタイトル一発で購入を決めた。「ほねがらみ」いかにも何かありそうで、不気味な響きだ。しかし、実態はかなり散漫な印象だ。連作にしようとした短編集が失敗したという感じ。1回目は本気で訳が分からなくなり確認のため2回読んだ。このブログが無ければ多分2回も読まなかっただろう。

Amazonにある紹介は結構過激だ。

「読んだら眠れなくなった」「最近読んだ中でも、指折りに最悪で最高」「いろんなジャンルのホラー小説が集まって、徐々にひとつの流れとなる様は圧巻」など、ネット連載中から評判を集めた、期待の才能・芦花公園のデビュー作。

「読んだら眠れなくなった」というのは、次の紹介とリンクしている。

安易な気持ちで、恐怖の実話を集めてはいけない――!
ネットでバズった恐怖小説が、書籍化により、拡、散。

「今回ここに書き起こしたものには全て奇妙な符号が見られる。読者の皆さんとこの感覚を共有したい」から始まる、ドキュメント・ホラー小説。

最初に書いたが、要は読んだら呪われる系の仕掛けのある小説なのである。極力客観的に書こうというスタイルで語り始められるが、最終的には「読んだお前も被害を受けるぞ」という脅しを含んだ手法である。もともと、ネットホラーでは定番のスタイルで、これを映像に置き換えたのがいわゆる「リング」、迷惑メールになると「チェーンメール」などになる。ある程度、ホラーというジャンルに親しんでいれば、使い古された手法なので効かないと思うが、たまに真に受ける人もいると思うので、注意が必要だ。

この文章を読んだら呪われます、というような短文でも自分は呪われるかもしれないという疑念が持った人間が読めば実際に気分が悪くなったり、偶然起こった事故などを結び付けて不幸になってしまう。文字というのは思ったより怖いものである。

そういう理由で初めから引っかける気満々で書かれている本書は、結論がそれなので非常に読みにくい。単発の良くある短編をいくつも掲載し、その共通点を探っていくような流れになる。特徴的なのは伏字の多用で、メリットとして若干のミステリ要素を加えているが、むしろ読みにくいのと内容が分かりにくいというデメリットが大きい。話の概要は、

大学病院勤めの「私」の趣味は、怪談の収集だ。
手元に集まって来る、知人のメール、民俗学者の手記、インタビューのテープ起こし。その数々の記録に登場する、呪われた村、手足のない体、白蛇の伝説。そして――。
一見、バラバラのように思われたそれらが、徐々に一つの線でつながっていき、気づけば恐怖の沼に引きずり込まれている!

という感じで、主人公は医者である。ほとんど意味のない設定であるが、主人公の正気さを強調したいと思われる。

とはいえ、「いろんなジャンルのホラー小説が集まって、徐々にひとつの流れとなる様は圧巻」というのは過大広告すぎる。正しくは「いろんなジャンルのステレオタイプなホラーの断片が、作者の脳内では徐々に一つの流れなっているようだが、説明不足と主客の切り替えの分かりにくさが原因で、読者は置いて行かれるので読むのが大変」だ。落ちを書いてもいいのだが、そんなことをする必要も感じない。

結論として独自性・作家性・文章力において、明らかに力不足の感が否めず、短編ホラーなら許容できるかもしれないが、長編としては苦しい作品。私はお勧めしない。

(きうら)


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